「テーマの重要性は強く感じたが、作品としては物足りなさが残った。」長崎 閃光の影で naoさんの映画レビュー(感想・評価)
テーマの重要性は強く感じたが、作品としては物足りなさが残った。
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看護学生の視点から戦争を描く試みは新鮮で意義深いと感じたものの、映画の表現力が題材の重みに追いついていない印象だった。
主役の3人は年齢設定(15歳・17歳)に見えず、演技にも説得力が欠けたため、未熟さや揺れ動く感情がリアルに伝わってこなかった。もっと若い俳優を起用していれば、看護学生としてのリアリティが増したのではないかと思う。
展開は淡々と進み、緊張感や山場が乏しく、体感時間は実際の上映時間以上に長く感じられた。多くのエピソードを散りばめているのにどれも掘り下げが浅く、感情移入しづらかったのも残念。
さらに気になったのが、朝鮮人への差別発言の描写。エンドロールには「実際の看護学生や赤十字の人々はそのような言葉を発していない」と明記されていたが、それならなぜわざわざ看護学生に言わせたのか。もし史実に基づいた人物がいたなら、その人の口から語らせるべきではなかったかと思う。こうした演出が、作品全体の説得力を損ねていた。
原爆の重みは、終盤の当事者の登場でようやく現実味を帯びたが、それまでの描写にはインパクトが足りず、心に迫るものが弱かった。
予告編通りの印象にとどまり、期待を超える驚きや感動がなかったのは惜しい。テーマの大切さを否定するつもりは全くないが、もっと心を揺さぶる作品に仕上げてほしかった。
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