劇場公開日 2025年8月1日

「とにかくみてほしい、感じてほしい」長崎 閃光の影で SunRiseShadowさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 とにかくみてほしい、感じてほしい

2025年7月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

原爆の惨状は、長崎や広島の人にとって、耳にタコができるほど、毎年毎年聞かされてきたことだと思う。
この映画もその話の1つではある。
皆、水を求めて死んでいく。
元気そうな人も血を吐いて死んでいく。
でもそんな中、物もない中で、そこに寄り添って助けてくれた人がいる。
その記録だ。

今、この時に、被爆80年に、そしてこの戦争が多い時に、ぜひみてほしい。
戦争の愚かさは、他の作品でも多く描かれている。
しかし、原爆の惨状は、広島・長崎でしか描かれないし、今後も増えてはいけない。
原爆が悲惨なのは、1度に大量の人を殺戮するということもあるが、たとえその場で助かっても、時間をおいて死が追いかけてくるということが、他にはない恐ろしさだと思う。
亡くなった弟を火葬する子供、被曝マリア像など、長崎では知らない人がいないほどの話だが、もっと多くの人にも知ってほしい。

この作品で少し特徴的なのは、カトリック信者の様子が書かれたことだろう。
長く長崎では信仰が深かった。
禁教の時にも「潜伏キリシタン」として引き継がれ、そしてこの原爆なのである。
原爆は浦上天主堂のすぐそばに落とされた。
そこにいた信者たちの様子が描かれた作品でもある。

一方で、人種差別の面も隠さずに描かれている。
朝鮮半島出身者も多く原爆に巻き込まれた事実も知られるべきだろう。

最後の但し書きのように、日赤だけが救護をしていたわけではないと聞いているが、被爆者にとって、心の拠り所になったと聞いている。

重いテーマではあるが、比較的淡々と描かれているので、重くなり過ぎないように思う。
画角が比較的均一で、画像の迫力にややかける部分もあるが、内容を重視して、そこは少し目をつぶってほしい。
できることならば、原爆の映像や原爆症についての知識はある程度持った上でみてほしい。

SunRiseShadow