「【”黒猫の死骸と生きた黒猫。そして響き合う孤独な魂。”今作は、美しい自然の中、孤独な心を抱えた少年少女たちの姿を描いた、切なくも儚いゴーストストーリーである。】」メイデン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”黒猫の死骸と生きた黒猫。そして響き合う孤独な魂。”今作は、美しい自然の中、孤独な心を抱えた少年少女たちの姿を描いた、切なくも儚いゴーストストーリーである。】
■高校生の刺青を入れたカイル(ジャクソン・スルイター:リバー・フェニックスを彷彿とさせる。途中までは作品の風合も・・。)とコルト(マルセル・T・ヒメネス)は悪友同士。街中の道路をスケボーで飛ばしたりしているが、ある日カイルは立ち入り禁止区域に入り込み、列車に撥ねられてしまう。
その事で、深く傷ついたコルトは彼と良く過ごした川沿いを歩くうちに、同じ高校に通っていながら行方不明になったホイットニー(ヘイリー・ネス)の日記を拾う。そこには、彼女の友人と上手く交流出来ない、切実な思いが綴られていた・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作は様々な解釈を観る側に容認させる作品である。だが、明らかなのはカイルもコルトもホイットニーも、青春期独特の孤独を背負っていた点である。
・冒頭、カイルとコルトは家の建築現場で、地下室になるであろうところで黒猫の死骸を拾う。非常に印象的なシーンである。
その後、カイルは列車に撥ねられるのであるから。
・美しい自然が背景に描かれるが、トーンは暗い。学校のシーンでは先生も時折登場するが、存在感は薄い。生徒達に必要以上に介入してこないのである。
・コルトがカイルの死を中傷したカウボーイハットの少年と諍いになるも、コルトから謝罪し、二人で拳銃を撃つシーンも、どこか象徴的である。
■死んだ筈のカイルと行方不明になったホイットニーが、河原で出会い、二人で石投げをして笑顔で遊ぶシーンは、彼らの孤独な魂の交流のシーンではなかったか。
・そして、独り彷徨うコルトは冒頭で黒猫の死骸を見つけた場所で”生きた”黒猫を見つけ優しくあやすのである。
<今作は、美しい自然の中、孤独な心を抱えた少年少女たちの姿を描いた切なくも儚いゴーストストーリーである。>
<2025年7月20日 刈谷日劇にて鑑賞>