「映画内の「プロット」も大概ひどいが、本作のシナリオも相当ひどいと思う」プロット 殺人設計者 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
映画内の「プロット」も大概ひどいが、本作のシナリオも相当ひどいと思う
2025.6.25 字幕 T・JOY京都
2024年の韓国映画(99分、G)
リメイク元は2009年の香港映画『Accident(監督:ソイ・チャン)』
計画殺人立案&実行チームが謎の組織に狙われる様子を描いたクライムミステリー
監督&脚本はイ・ヨソプ
原題は『설계자』で「設計者」、英題は『The Plot』で「陰謀」という意味
物語の舞台は、韓国のソウル
殺人を事故に見せかける「殺人設計」を作成するヨンイル(カン・ドンウォン)は、クライアントからの依頼を受けて、対象者を事故死に見せかけてきた
彼の仲間は、変装名人のトランスジェンダー・ウォルチョン(イ・ヒュヌクイ)、ベトナム帰りの老女・ジャッキー(イ・ミスク)、入ったばかりの新人ジョムマン(タン・ジュンサン)だった
ヨンイルには、かつて事故死をした相棒チャンヌン(イ・ジョンソク)がいたが、彼の死は不可解で、「清掃人」の仕業だと考えていた
清掃人はヨンイルのグループよりも規模の大きい企業のようなもので、各方面にも顔や力が効く存在だと考えられていた
ヨンイルは頑なに清掃人の存在を信じるものの、それを裏付けるものは何もなかった
ある日のこと、世間を騒がせている検事総長候補のチュ・ソンジク(キム・ホンパ)の娘ヨンソン(チョン・ウンチェ)から依頼が入った
内容は父を殺して欲しいと言うもので、彼女は母イ・ファソン(ユン・ボクイン)の汚職事件で得た金を相続し、起訴されるのではないかと思われていた
ソンジク自身も候補から降りようとせず、それによって、マスコミなどの追及が激しくなっていた
そこで、問題の元凶である父を事故死させることで、事態の沈静化を図ろうと考えていたのである
ヨンイルたちはターゲットの行動などを調べ上げ、殺害方法も「感電死」にすることが決まった
その為に雨が降るのを待つことになったのだが、ソウルは晴天続きで、待機しても解散を繰り返すばかりだった
物語は、彼らの計画実行日にジャッキーが姿を暗ますところから動き出す
何とかチャンスをものにして依頼を実行するものの、ジャッキーの不在に加えて、彼女を探しているうちに命までも狙われてしまう
偶然を装ったバスの事故が目の前で起き、それにジョムマンが巻き添えになって殺されていた
ヨンイルは「清掃人」の仕業であると確信し、次は自分たちの番だと、身を潜めることになった
映画は、殺人計画者を狙う清掃人とのバトルと言う感じに描かれるのだが、実際に清掃人がいたのかどうかは明示されない
一応は、担当刑事のヤン(キム・シンロク)を含めた国家権力と言うところに落ち着くのだが、それを確実視させる証拠はない
ヨンイルの家にあったチェスの駒をヤン刑事が持っていたことで、彼女があの家を家探ししていたことまではわかるものの、それが証拠かと言われると違うようにも思う
そもそも設計者のプランは「ほぼ運任せ」のような仕事で、再現性があるとはとても思えない
ソンジクの感電死にしても、ストロボが焚かれてヨンソンが車椅子から手を離すと言うところに再現性はなく、あるとしたら「合図のストロボと同時に車椅子から手を話し、その後にてんかん発作を偽装してください」みたいな指示がないと無理だと思う
依頼人に事故に見せかけるための協力が必要と言う時点で設計でも何でもないと思うので、冒頭のレンガが崩れる殺人よりもざっくりしすぎている気がした
後半に起こる交通事故もそううまくはいかんだろうと思うもので、あれだと「機械の故障でガラスが落ちて当たって死ぬ」とかでないと実効性は低いように思えた
エンディングにて、キャストと演じた役柄の死についてふれられるのだが、ジャッキーはどうやら死んでいないようだった
彼女が自殺を試みたのは保険金目当てのもので、その受取人については「わかった」らしいが明示はされない
そもそも保険を掛けていた老女=ジャッキーというのも憶測のようなもので、その保険金を受け取れる人の依頼を受けた誰かが偽装しようとして失敗したようにも思える
結局のところ、ネタバラシと言う部分がざっくりとしすぎていて、きちんと説明されているとは言えない
それゆえに、ロジックも何もあったものではないな、と言う感想を持ってしまった
いずれにせよ、ヨンイルたちの考える清掃人と言うものは存在しないのだが、存在しているように思えてしまう状況を作り出す組織のようなものはあると思う
ガチの清掃人からすれば、素人集団が関わることでリスクが増えるとも言えるので、そう言ったものを排除しようとしているようにも感じた
ヨンイルたちに目星を付けつつも、彼らを泳がせることも織り込み済で、彼らに働かせてから掃除をすると言うところまで込みなのだと思う
ただし、映画ではそこまでは言及していないので、ヨンイル同様に思い込みにしか過ぎない部分はあると思う
映画は、どちらかと言えば心理サスペンスの部類になると思うので、そう言った面で観れば疑心暗鬼の肥大化の仕方というのは面白いし、それを仕掛けていくプロは凄いように思える
どこまで行っても公権力を自由に操ることができる組織は最強なので、その命令の根本というものは映画であっても出てこないのだろう
あえて言うならば、検事総長のもう一人の候補であるとか、そう言った筋の権力者の思惑で動いているのだが、せめてヨンソンとヤン刑事が裏で繋がっていましたよ、ぐらいのわかりやすいネタバレを持ってこないと意味がないように思えた
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