劇場公開日 2025年5月23日

「舞台ヴェネチアと一生・飯豊夫婦共演が見どころ」岸辺露伴は動かない 懺悔室 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 舞台ヴェネチアと一生・飯豊夫婦共演が見どころ

2025年6月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ドキドキ

原作ファンでも高橋一生ファンでもなく、前作も配信でしか観ていないのだが、旅行の思い出のあるヴェネチアが舞台というところに惹かれて鑑賞。

【物語】
漫画家・岸辺露伴(高橋一生)は取材でヴェネチアを訪れていた。ある教会を見学していたところ、懺悔室で男(大東駿介)が悔いを語り始め、露伴は思わず耳を傾ける。

男は何十年も前、旅行中ヴェネチアで金を盗まれ一文無しとなったため、過酷な肉体労働生活を強いられていた。 そんな追い詰められた状況で、瀕死の浮浪者のソトバ(戸次重幸)に食べ物乞いをされ、苛立ちから卑劣な嫌がらせをしてしまう。その結果、その男は「お前の幸せの絶頂時に絶望を味あわせる」という恨みの言葉を残して命を失うこととなったのだという。その後、男には幸運が次々と訪れるのだが、それを素直に喜べず、幸せになることは絶望へ近づいているという恐怖から逃れられずに生きて来たのだった。

数日後に一人娘(玉城ティナ)が結婚しようとしているのだが、その幸せの絶頂は父娘に最大の不幸が訪れることを意味すると妄信し、男は結婚を阻止しようとしていることが分かる。

【感想】
作品としてはサスペンスのカテゴリー。未だ原作の露伴のキャラが掴み切れていないのだが、なかなか良い演出と高橋一生の演技力で結構楽しめた。前作の撮影の頃から交際が始まったらしい実妻の飯豊まりえとの共演も興味深い。さすがと言うべきか、ふたりの自然なバディー感に好感を持てる。エンドロールまで誰だか全くわからなかった浮浪者役の戸次重幸は、短時間でも印象に残る熱演だった。

期待のヴェネチアの映像については、前半は「ヴェネチアの魅力が十分映されてないな」と思って観ていたが、終盤は存分に出ていた。自分は行かなかった美しい教会も舞台に使われ、「こんな建物も有ったのか」と再訪の欲求を刺激された。エンディングの情景は思い出に強く残っているものだったが、映像として素晴らしいものだった。

泣き虫オヤジ