「この世界観と雰囲気がたまらない!」岸辺露伴は動かない 懺悔室 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
この世界観と雰囲気がたまらない!
人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ作品として描かれたテレビドラマ「岸辺露伴は動かない」の劇場版第2作。テレビドラマでファンになり、本作も楽しみしていました。公開3日目に鑑賞してきましたが、かなりの客入りで人気の高さを再確認しました。
ストーリーは、取材とイベントの仕事でベネチアを訪れた人気漫画家・岸辺露伴が、たまたま訪れた教会で仮面の男に神父に間違われ、「かつて自分が冷たい仕打ちをしたために死んでしまった浮浪者から、『幸せの絶頂を迎えた時に絶望を味わわせてやる』との呪いをかけられたが、ある日かわいい娘が遊ぶ姿に幸せを感じてしまい、その瞬間に死んだはずの浮浪者が現れ、試練を課された」との告白を聞かされ、この奇妙な話に興味をもった露伴は、特殊能力「ヘブンズ・ドアー」によって男の内面を探るが、これにより露伴自身にも呪いが襲いかかるというもの。
率直な感想としては、とにかくおもしろかったです。前作よりも格段にわかりやすく、それでいてしっかりと岸辺露伴の世界観を感じさせてくれます。中でも、本作の核となる「”幸せ”と”絶望”という相反する二つが襲いかかる呪い」という設定が、物語をおもしろくしています。未読ですが、原作の魅力が十分に生かされているのではないかと思います。
実際に絶望が訪れなくても、呪いに取り憑かれた日々を送るだけで、すでに十分に絶望的です。まるでいつ訪れるかわからない死刑執行の日を待つような苦悩の日々でしょう。全編を通して、正体のわからない”絶望”が迫り来る恐怖や苦痛に男が追い詰められていく過程が、ひりひりしていい感じです。終盤に差しかかるころには、”絶望”の正体やその回避法もなんとなく察しがついてしまうのは少々物足りなく感じますが、それでも十分に楽しむことができます。
また、全編ベネチアロケによって味わえる旅行気分もさることながら、これによって醸し出される雰囲気が、作品の独特の世界観の形成に大きく寄与しています。これが物語への没入感を高め、作品をより魅力的にしています。
主演は高橋一生さんで、もはや完全に岸辺露伴の佇まいで、原作から抜け出たと言ってもいいくらいです。脇を固めるのは、飯豊まりえさん、井浦新さん、玉城ティナさん、戸次重幸さん、大東駿介さんら。中でも、大東駿介さんの演技が、世界観によくマッチしていて、作品を盛り立てています。
私事ですが、本レビューが通算1000作目となりました。いつも共感&コメントをありがとうございます。これからもみなさまと一緒に映画を楽しんでいきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。