「見やすい映画ではあるが、VODなどでの予習は必須か。」岸辺露伴は動かない 懺悔室 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5見やすい映画ではあるが、VODなどでの予習は必須か。

2025年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年135本目(合計1,676本目/今月(2025年5月度)20本目)。

 ※ 世界観が割と謎なのですが(外国っぽいのに日本語を話している等)、便宜上日本の法律が適用されているものとみなします。

 このシリーズ自体は原作がコミックだったか小説だったと思いますが、去年かに前作があり、原作ファンでない限り前作を映画で見ていても、VODなどで復習しておくのは必須かな、といったところです。

 ほぼほぼイタリア?で進む(わりに、イタリア語が出たり日本語が出たり…)展開ではあるものの、ストーリーはわかりやすいし、初めての方でも導入がしやすいようにいわゆる自己紹介パート的な部分もあるし、知らない方は来ないでね状態にはなっていないものの、VODでの予習があると圧倒的に有利かな、といったところです。

 おそらく次作もあるのだろうと思うし、作品としても極端に不愉快な表現はないし(気になる点は下記)、今週は迷ったらおススメかなといったところです。いわゆるグッズの類がほぼほぼ売り切れていたのが印象的でした(女性の方が多かった印象。女性ファンの方が多いのかな?)。 ※ 購入数制限が掛かっていてもいくつかのグッズが売りきれ

 採点に関しては以下まで考慮しています。

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 (減点0.3/労働基準法違反)

 中盤あたり、パンが食べたいという男性に対して労働(部屋を片付けること)を脅迫し強制するシーンが存在しますが、労基法には

 第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

 …とありますから(この使用者/労働者は、いわゆる企業等でなくてもこのように実態的に労使関係があれば足りる、また、実際に労働しなくても脅迫すればそれだけで成立するというのが日本の判例)、ここの部分が極めてまずいです(労基法では一番厳しい基準。拘禁刑(現懲役刑)が、労基法の中でもっとも重い違反)。ここは何らかの配慮が欲しかったです。

 ※ ここで脅迫、暴行などが用いられても労基法5条が成立する限り、競合関係論(罪数論)により、労基法5条「だけ」が成立します(このあたり、刑法のお話)。

 ※ このあたりはどちらかというと社労士ネタですが、行政書士の資格持ちは外国人の受け入れ態勢で社労士との共管業務が明確に存在するので、労基法を全く知らないということはありません(そもそも、民法・刑法以外の法律は「行政法」で、「労働法」は行政法の下位区分になります) ※ 国際公法・私法等特殊な論点は除く。
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 (減点なし/参考/イタリア語の2つの be 動詞)

 映画の中でいくつかイタリア語が聞き取れますが、be動詞にあたる stare と essere があることがわかります。このようにbe動詞が2つ以上ある動詞は「一時的な状態」と「(例外がない限り)継続する状態」で使い分けます(スペイン語の ser/estar と同じ)。一方で、イタリア、スペインと両方に接するフランスでは etre だけと、いわゆるbe動詞(コピュラという。「AはBである」という「A=B」の = を意味する用語)が2つある言語、1つだけの言語がバラバラなのは言語学の話ですが、ここはある程度知識があると「なるほどな」という部分です。

yukispica
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