「8番出口、それは「誰か」を見つめる勇気」8番出口 kenさんの映画レビュー(感想・評価)
8番出口、それは「誰か」を見つめる勇気
「8番出口」の世界観を見事なまでに映像化しています。主演のニノと小松菜奈さんの演技もさることながら、特にすばらしいのは、おじさんの存在感です。ゲームの中からそのまま飛び出してきたかのようなリアリティがあり、その姿がゲームの記憶と映画の物語を強く結びつけ、作品への没入感を一層深めてくれました。
映画の序盤で描かれる、ニノの視点(満員電車で泣く赤ちゃんとお母さんを誰も助けない)や、おじさんの視点(女子高生に「日常こそ地獄」と言われる)は、まるで出口の見えない人生のループを象徴しているようです。
しかし、8番出口を脱出した後のラストシーン。主人公のニノが、まるでそのループを断ち切るかのように、満員電車の中で自ら行動を起こそうとするラストシーンがシンプルで素敵でした。
「異変を見逃さないこと」「異変を見つけたら、すぐに引き返すこと」「異変が見つからなかったら、引き返さないこと」というゲームのルールは、ただ通路を行き来するだけの単純な物語に見せかけて、私たちに人生のヒントを与えてくれます。この映画が教えてくれるのは、人生の停滞(ループ)から抜け出し、自分にとっての8番出口(希望)を見つけるためには、大切な人をしっかりと想い、考え、みつめて、行動することこそが大切な人の笑顔になり、それが自分自身のエネルギーにつながるということです。
ポスターの一枚、エッシャー(エッシャーといば、だまし絵)というひびきが、単なる通路のループではなく、多層的な世界観を暗示するアクセントとなっています。
二宮さんの喘息という設定が最後までどういう意味を持つのか掴みきれませんでしたが、それでも何か深い意味があると思わせる、素晴らしい作品でした。
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