「演出を楽しむだけでも劇場鑑賞の価値があった」8番出口 映画で感性磨くMANさんの映画レビュー(感想・評価)
演出を楽しむだけでも劇場鑑賞の価値があった
賛否両論な今作、二宮和也主演と川村元気監督ということで、興味本位で映画館に足を運んだ。結果、行って良かったと思えた。没入感としては非常に満足度が高い。
そもそもストーリーの無い、ただただ異変を見つけながら脱出するというシンプルなゲームを強引に実写映画化している時点で、映画の物語やメッセージ性などは特段期待してなかった。が、ゲーム的緊張感を阻害し過ぎない程度に物語を入れ込み、考察し甲斐のあるものには出来上がっていたと思う。
満員電車で泣く子供をあやせない母親を大声で怒鳴り上げる大人に対し、スマホを見たり、音楽を聴いたりと、誰一人として仲介に入らない、見て見ぬ振りをする大人達。妊娠しても簡単に中絶という選択肢をとる、子供(命)というものが何なのか軽んじられる現代社会。そういったテーマが盛り込まれていた。
全体的に演出が素晴らしく、ゲームに求められる緊張感がしっかりと落とし込まれていた。その中でこのゲームの注目ポイントである「おじさん」を深掘りしたり、ゲームには無いシナリオを展開していたのも良かった。
異変が無ければ進むというルールで、本来ゲームでは進んだ際に0番に戻ってしまうと何処が異変だったのか分からず、答え合わせが無い為モヤモヤを残しながら次に進まないといけない。映画でこれをすると観客へのストレスになりかねない為、二宮の視点では異変が無いと判断しても、観客目線では明らかな異変に気付けるような手際の良い演出がされていた。この細かい演出ひとつひとつが映画館で鑑賞すべき理由に繋がっていた。
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