「怖さというより不快感を狙った描写が多い」8番出口 おけんさんの映画レビュー(感想・評価)
怖さというより不快感を狙った描写が多い
ゲーム原作の作品だけど、原作を知っていれば物語が補完されてゲームがより深く感じられるし、知らなければギミックそのものを初見で楽しめる。どちらの立場でも楽しみ方があるのがいいなと思った。
映画は「異変に気づいたら引き返す、なければ進む」というシンプルなルールを、そのまま繰り返すだけじゃなくて、前後にストーリーを肉付けして自然にドラマ仕立てに落とし込んでいる。二宮さんが思考を巡らせながら出口を探すだけじゃなく、反対側から歩いてくるおじさんや別のキャラにスポットを当てて、単調さを避けていたのも良かった。ストーリーがあることで「なぜループしているのか」という部分に、直接ではないけれど意味付けがされているように感じられた。
主人公が咳き込むシーンはすごくリアルで、観ているこっちまで息苦しくなるくらい。キャラクターの説得力にはつながっていたけど、描写が多めでしんどさもあった。ここは人によって受け止め方が変わると思う。
映像の作りは、いわゆる「ワーッ」と驚かせるホラーではなくて、嫌な感じを積み重ねていくタイプ。赤ちゃんの泣き声やドンドンという音、不気味なネズミのような存在、そしてリアルな津波のシーン。怖さというより不快感を狙った描写が多くて、ここは好みが分かれそうだなと思った。
ルール自体はシンプルだけど、映画ならではの意味付けが加わることで、ただのループ体験では終わらず「この空間はなぜ存在しているのか」を考えさせられる。
過去の映像作品と比べて使い古されたギミックだと言う人もいるかもしれないけど、新鮮に受け止められる人もいるだろうし、その意味では十分に価値があると感じた。
観終わったあとには「なるほど、こういう理由でループしていたのかもな」と思えて、ゲームの世界観がさらに広がった気がした。
津波や喘息の描写はきつく感じる人もいるだろうけど、最終的には観る人それぞれの感じ方に委ねられる作品。
個人的には楽しめたし、ゲームが好きな人なら「あのシーンだ!」と嬉しくなる場面も多いんじゃないかと思う。
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