「最後で台無し」8番出口 サブロウタさんの映画レビュー(感想・評価)
最後で台無し
完全ネタバレです
ストーリーは正直ありきたりかつ薄いのだが、原作ゲームに全く物語が存在しなかった事を考えれば原作の雰囲気を損なわず映画として成立させるにはこのくらいにするしかなかったのだろうと思えるのでまあ及第点
ゲームにおいて終始正体不明だったオジサンにゲーム中の演出を絡めてキャラクター性を与えたのは個人的には良かったと思う
まあ視聴済みの人に向けた愚痴レビューなので内容の仔細については別にいいだろう
個人的にあのラストには納得がいかない
だってニノ演じる主人公はなんと『外に出ていない』のだ
8回正しい道順で進んだ後に現れたのは『乗り継ぎ用の下り階段』である
8番出口から『外に出ること』がルールだ
8番出口から『ループの外に出た』とでも言いたいのか?無理がある
外に出ずに乗り継いでそのまま地下鉄に乗ってしまい目的の駅に8番出口がなければ『8番出口から外に出ること』というルールを破ることになる
もう1回ループするか下手したらおじさんの二の舞になるとしか思えない
『ループのきっかけとなった出来事より前に戻る』というループもののお約束を絡めて冒頭と違う行動を取らせることで心の成長的なものを描きたかったのかもしれないが、はっきり言って大失敗であろう
ちなみに、原作では『8回正しい選択をしても異変の存在しないパターンを引き当てない限りループが続く』
そのため、『外に出ない=ループから抜け出すのに失敗した』と解釈することも一応可能であるが、ここで問題になるのが主人公が『地下鉄に乗ってしまうこと』
ループものの脱出後のお約束とも言えるループの切っ掛けが生まれる前(冒頭乗っていた電車にそもそも乗り込む所)へと戻っている訳だが、仮に電車内も含めてループしていると捉えた場合、電車内を舞台としたループに関しては原作には『8番のりば』という次回作が存在し、これが時間軸的には明確な前日譚として機能している為に話が変わってくる
例えば一見すると怒鳴る男の注意に向かったと思えるニノが『隣の車両に逃げただけ』だとすればそこから『8番のりば』が始まり、再び『8番出口』に繋がる無限ループとも言える構図になるからだ
とはいえ、あくまで『8番出口』の映画化である以上その可能性は低いだろう
最後さえなければ『物語のない原作を上手く映像化した佳作』くらいの評価だったが最後の最後に変な色気を出して滑った凡作であろう
なぜ外に出ないのか。
結論はループから抜け出せていないからです。
電車の時刻表、あれ最初のスマホの時間より前ですよ。さぁ、どうする?
こっからは解釈的な話になりますが、あの映画の異変はダブルミーニングになっているのでしょう。1つは不条理。これはわかりやすい。
もうひとつは目の前の困難を見て見ぬふりすること。これは子供のシーンから分かります。少年は異変を見つけるのは得意だけどそれを伝えるのは下手。
だから、迷う男と歩く男に求められていたのは少年が足を止めるという異変に気が付いて見て見ぬふりをしないかどうか。
歩く男はどうでした?見て見ぬふりをして引っ張ってしまいました。なので結末があれです。
では、迷う男は?しっかりその異変を見逃さず、向き合いました。この頃から明らかに二宮さんの目が変わります。恐らく、電車のシーンのように異変に向き合えない自分に向き合えたのでしょう。
今作の結論は、日常にも異変はある。(赤ちゃんに怒鳴る電車のおじさん)それを見て見ぬふりして向き合わないのか?という事です。
だから、異変のあるループ(8番出口)からは抜け出せないんです。一生ね。
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