「「8番出口」は脱出ホラーじゃない、未来に“選ばれる”物語だった」8番出口 皐月さんの映画レビュー(感想・評価)
「8番出口」は脱出ホラーじゃない、未来に“選ばれる”物語だった
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正直ホラーとしては物足りなかったけど、設定を考察するとめちゃくちゃ奥深い作品でした。
表面的には「異変からの脱出ゲーム」だけど、8番出口そのものを“産道”のメタファーとして読むと一気に解像度が上がります。
パートナーは最初から「産む」ことを決めていて、主人公とおじさんは父親候補として試される存在なんですよね。
主人公が「産ませる」って決断すれば、たとえ遺伝子的におじさんの子でも“主人公の子”として少年は誕生する。
主人公が「産ませない」を選べば、おじさんの子として産まれる。
どちらも拒否すれば、少年は未誕生のまま、二人は永遠に8番出口から出られない。
つまり、あの空間は父親を選ぶゲームではなく、“未来を確定させる装置”だったってこと。
パートナーだけが電話や幻影で干渉できるのも、8番出口=母体の内部だからだと考えると納得できます。
出口に辿り着いた主人公は「父親になる覚悟を決めた」と思ってるけど、実際は未来に取り込まれただけなんですよね。
出口が正解なんて一言も言われていないし、「ゴール=救済」と信じる観客側の思い込み自体が罠になっている。
ホラーとしては淡白だけど、"未来に選ばれる恐怖"を描いた作品として見るとかなり面白いです。
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