「天才達の天才的な神作」8番出口 るゆのあさんの映画レビュー(感想・評価)
天才達の天才的な神作
行間を読み、映画を想像力の元楽しみたい方は引き返さないこと
映画の意図は制作側が示すべきで映画を享受したい方は引き返すこと
この映画は、つまるところこういうことです
普段はコメントは残さない主義なので初コメントになってしまうのは申し訳ない。ただ今作はどうしても書かなくてはならない気がしてしまったのた。
まず、とにかく素晴らしいに尽きる。
この作品を一言で表すのなら天才という言葉がピッタリだろう。
8番出口という題材、ストーリのない所への肉付け方、95分という時間、二宮和也のキャスティング。その他どれをとっても完璧だった。
中々お目にかかれない超長回しと、予想外の仕掛け。と思いきや、お馴染みの異変など短めの映画であるのにも関わらずかなり満足感が高い。
また、ホラーであまり好まない人もいるジャンプスケアは多少利用されていたが、何よりそのカードを切るタイミングがドンピシャで、どんなに予想して身構えてもフッと体の力がどうしても抜けてしまうその一瞬に繰り出されるそれはとても効果的だったと言える。
ただ、1点残念だとしたら、あまりにも天才が過ぎるが故に1部の観客を置き去りにしてしまう事だ。
95分という時間的制約と、そもそもが起こりえない超常現象をもとに天才たちが作品を作ってしまうとこうなる。あまり考えて作品を見ることが得意でない方々は脱落してしまうのだ。
元から海外の映画祭を狙っていたこともあり、セリフも少なく、シンプルな設定のゲームなのでそれに伴いとてもコンパクトに纏まった作品となっている。おかげで、想像力のない人及び脳の処理能力が遅めの人にはちょっときつい。
ループもので閉塞感というものが売りなので、とにかく考えて考えて負荷をかけてという点では成功しているのだが、あまりにも精巧に出来すぎてるので観客の思考力じゃ追いつけない。
その代表例が喘息の設定だろう。
精神的にストレスを与え続ける事だけでなく、身体的にも制限を付けてキャラにも観客にも更なるストレスにしたいという二宮さんの提案で、監督が道具を使ってヒットポイントが回復するのはゲームらしい考えだと大絶賛して入れられた所らしいが、完全に作り手の思考回路に観客が追いつけていない。
喘息はあの映画特有の息苦しさを誘発した根源でもある最高の設定であったのにも関わらず伝わらないのは悲しいところだ。
ということで、総括して★5
天才監督×天才脚本家×天才役者のトリオが手を組んだ結果とんでもない作品が生まれ、分かる人にはちゃんと伝わるが、分からない人には一生経っても分からないだろうという神作となった。
わかる人にはわかる
わからない人にはわからない
というレビューは一種の逃げで、なんのレビューにもなってないと思いました。
それにこの映画は、そんな議論をするレベルの映画ですらないと思います。
るゆのあさん、コメントありがとうございました。
作品の解釈や受け止め方については、本当に人それぞれなので議論をするつもりはありません。そもそも歴史に残るような問題作品ほど製作者側の意図を超えたところまで、あーでもない、こーでもないと侃侃諤諤、喧々囂々の騒ぎとなるわけで、色々な見方があるのは決して悪いことではないと思います。
よく「この作品は見る人を選ぶ」という表現を見かけますが、あれは本来、「この監督(作品)の評価を正当にできるのはもしかしたら自分だけなのでないか」「この作品は自分のために作られたのだ」というちょっと優越的な満足感を気取って言ってるだけなのです。他の人には理解できなかったであろうこの監督の感性を理解できた自分を誉めてあげたいけど、そんなこと自慢げに言えないから、作品のほうが鑑賞者を選んでいるという言い方にしたのです。だから、そういう映画に出会った時は、他の多くの人が感じ取れなかった監督の感性を自分だけは受け取れたのだ、と大いに喜べばいいと思います。決して自分と同じように理解できなかった人を批判したり、貶めたりするための表現ではなかったのです。
こんなにすごい作品をなんでほかの人は分かってくれないんだろう、というもどかしさはあると思いますが、逆のケースもあると思ってご容赦いただければ幸いです。
自分はかなり偏屈で、表現力も乏しいので、このコメントでもし不快な思いをさせてしまっていたらごめんなさい。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。