劇場公開日 2025年8月29日

「日常に潜む『異変』を見逃すな!」8番出口 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日常に潜む『異変』を見逃すな!

2025年8月30日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

斬新

■ 作品情報
監督は川村元気、脚本は平瀬謙太朗と川村元気、原作はKOTAKE CREATEのゲーム『8番出口』。主演は二宮和也、共演に河内大和、浅沼成、花瀬琴音、小松菜奈。

■ ストーリー
蛍光灯が淡く照らす無機質な地下通路に、一人の男が迷い込む。いくら歩いても出口に辿り着けず、何度も同じスーツ姿の男とすれ違ううちに、自身が無限にループする回廊に閉じ込められていることに気づく。男は壁に貼られた奇妙な「ご案内」を見つける。「異変を見逃さないこと。異変を見つけたら、すぐに引き返すこと。異変が見つからなかったら、引き返さないこと。8番出口から、外に出ること。」この指示に従い、男は出口である8番を目指し、通路に潜む異変を探し始める。異変を正しく認識すれば出口の番号に近づき、見逃せば0番に戻されるというルールの中、男は自身の人生の岐路に向き合うことになる。

■ 感想
予告編を観たときからずっと気になっていた本作を、公開初日に鑑賞してきました。ゲーム原作とは聞いていましたが、未プレイの私でもその世界観に引き込まれる、なかなか力強い作品でした。

ほぼ全編が地下鉄通路内というワンシチュエーションで物語が展開されるため、一歩間違えれば単調になりかねない構成です。しかし、この無謀とも思える挑戦を、見事にひとつのドラマとして成立させていることに心から拍手を送りたいと思います。主演の二宮和也さんをはじめ、登場人物が最低限に絞られている点も、閉じ込められた空間での焦燥感を煽り、物語のテーマをより深く掘り下げていると感じます。

本作は、私たち現代人に静かに、しかし強く訴えかけてくるメッセージを持っているような気がします。普段、私たちは厄介ごとに巻き込まれたくなくて、無意識のうちに多くの『異変』を見て見ぬふりをして過ごしていないでしょうか。あるいは、もっと関心をもって自分自身の考えをもつべき事柄に対して、無関心すぎではないでしょうか。映画冒頭で、大泣きする赤ちゃんに対してキレる男性、主人公が見ていたネットニュースの『人間の器官を移植された実験ネズミ』のように、私たちは、自分にとって不都合な、あるいは関心のない重要な事柄を日々スルーし続けているのかもしれません。

そして、その『異変』が自分自身に突きつけられたとき、初めてその異様さに驚く。本作は、もっと身の回りのことに関心をもち、自分の頭で考え、判断することの大切さを改めて教えてくれているように感じます。主人公もまた、別れるはずだった彼女の妊娠という報を受け、初めて事の重大さを自分事として捉え、向き合う決意をしたのでしょう。この出来事をきっかけに、主人公の男性はきっとよい父親になる事でしょう。そんな変容を感じさせるラストの余韻が心地よいです。

おじゃる
seiyoさんのコメント
2025年8月31日

こんにちは〜。

良き父親になりますよね
あのラストもけっこう好きです

seiyo
おつろくさんのコメント
2025年8月30日

共感ありがとうございます!

自分は8番出口をプレイしたことがありますが、異変に気付く注意力があればわりと簡単にエンドできる、子供でも日本語のわからない外国人でも楽しめるゲームでした。

ただ、すごく単純な構成なので、映像に落とし込むには難しいだろうなぁとは思っていました。個人的には地下通路と異変というシチュエーションは残しておいて、小松菜奈も二宮和也に会うために「8番乗り場」を目指すというダブル冒険スタイルにすればもっと尺が長くて楽しめる作品になったのではないかと思います。

おつろく
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