「『プレデター』への新アプローチ、だと思う」プレデター バッドランド くめいさんの映画レビュー(感想・評価)
『プレデター』への新アプローチ、だと思う
……とは言いつつ、『プレデター』シリーズをまったく観ていない。ただ
・人間を狩りに来る異星人
・なんか凄い武器を持っていたり透明になったりする
・同じに見えるけど個体差があるらしい。
くらいのイメージしかない。感想としては、
ホラー・アクション映画のイメージがあるプレデターだったけど、共感できるキャラとしてしっかり作られているのが良かった。ただシリーズを知らないので一部理解が及ばない所があった。
でも構成やキャラは非常に良かったので少しオーバー目に星4.5。
以下、細かい考察など。
主人公のデクは弱い落ちこぼれで、父親からは『一族の汚点』『寝てるうちに殺してしまえ』ととにかく殺されそうになる。しかし兄はデクを見捨てず訓練に付き合ってくれる。
デクは兄を慕っていて、自分を守るために兄が父に殺された際には大きなショックを受ける。父は兄を跡継ぎにしようとしていた風だが、弟を守ろうとする情を見せたことで見限ったのだろう。
これ以来、デクは映画の後半までほとんど喋らない。わずかに話すのは『狩りの成功が名誉』『強さが全て』『情は弱さになる』というプレデターのテンプレ価値観で、父の教え通り。情のために兄を死なせてしまった自責の念と他人への拒絶が垣間見える。
しかしその『強さこそすべて』という価値観から謀略の類は想像もしていなかったようで、ティアに利用されたと知るとやや大げさに激昂する。おそらく過去の作品でも策略でプレデターと戦ったのだろうが、未熟さと素朴さを感じて好感が持てた。『プレデター』が主人公である理由はここに一つあると思う。
そしてティアに兄弟の絆と自身の共感性を肯定され、少しずつ心を開いていく。ティアに姉妹と呼べる存在がいることも、最初はどうでも良さそうだったがテッサに会ってからの落胆と怒りは姉妹と決別したティアへの共感となって彼女を助けに行く流れになる。
さらに家族の絆の一押しになるのがカリストだ。序盤で懐かれた生き物が実は…というのはありきたりなパターンではあるが、デクもティアも家族を失っているのを見ているのでそれなりに説得力がある。
そしてデクは自らを狼になぞらえ『敵を狩るアルファ』から『群れを守るアルファ』となることを決意する。
この精神の変化が、主人公が『プレデター』であることの理由の二つ目になると思う。
決意をしたデクは故郷の惑星に帰り、父と決闘して勝つ。そこに母親の船が表れてこの映画は終わり。
ここで、私はふと思った。『ヤウージャの男女ってどんな関係なんだ?』船が大きいので社会的に高い地位にいるのかもしれない。デクの母親が特別なのか、女性そのものの地位が高い社会なのか。
これはデクが『姉妹』『母親』と表現した意味にも関わってくるポイントでもあるので、シリーズを観ていたらもう少しすっきりしたのかもしれない。
最後に、ティア(エル・ファニング)がすごくキュートだった。予告で観て「すごくかわいいなぁ」と思い、メインビジュアルや場面写真で「気のせいだったか?」と思い本編を観て「やっぱかわいいわ」と思い直した。写真写りの問題なのかもしれない。髪型が合ってましたね。足癖が悪すぎるのはともかく。
続編がありそう、もしくはシリーズとしてどこかに出てくるかもしれないが、これからでも過去作を少しずつ見ていこうかな…。
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