「可哀想なトロン」トロン:アレス たそがれさんの映画レビュー(感想・評価)
可哀想なトロン
この映画は製作費が2億2千万ドルの超大作だったが、全米での興行収入は2週間で6千万ドル。全世界興行収入が1億2千万ドルと惨敗でした。
最終的な興行収入は2億ドル前後と予想されています。
赤字額は日本円で500億円以上とみられており、ディズニーとしては「白雪姫」に続く悲惨な結果です。本作
「白雪姫」と合わせて1000億を超える赤字で普通の会社なら倒産する状況ですが、ディズニーは他の部署(例えばディズニーワールドとか)が大きな利益を上げており、またつい最近の「リロ&ステッチ」が1億ドルの製作費で15億の特大ヒットでこの2作の赤字をかなりの部分補填できそうです。
それにしてもこれほどの超大作がなぜこけたのでしょう。
アメリカでの評論家の評価は最悪で、「音楽は良いから目をつぶって観た方が好い」とか「CG映像が陳腐」とか色々いわれて絶不評なんです。
私は1982年の第1作もその後作られた第2作も劇場で鑑賞しました。
第1作などCG映像がまだあまり使われていなかった頃なので予告編を観ただけでワクワクしたものです。
しかし第1作も第2作も鑑賞途中で眠くなり寝落ちしてしまいました。
その訳はトロンの異世界が無機質でゲームの世界を延々と見せられているようで単調に感じたのです。
それに対して本作は異世界と現実世界が交わって起きる混乱が描かれている。
ストーリー自体はあまり面白くないけれど、さほど非難するほどではない。
とにかくこの映画の見所はCG映像につきるが、その点は膨大な製作費をつぎ込んでいるだけによく出来ています。それと私にはよく判らないけれど音楽を絶賛している評も目につく。それならディズニー的なポリコレが嫌われたのか。人種的な配慮の韓国のキム姉妹と敵の女性黒人戦士とか。私はそんなに気にならなかったけれど。
それとも今は飽きられているアメコミ要素が災いしたのかも。
どちらにせよ、興行的にも評価的にもここまで酷評されるのは不当だと思われる。
時間がたてば再評価されるかもしれません。
主役のジャレッド・レトは彼の前作「モビウス」がさんざん叩かれてそして今作である。
スターとしてのキャリアに泥が付き今後の仕事がどうなることやら。気の毒である。
でも私は彼に好感を抱いているので今後とも応援してゆきたい。
