「鮮やか」シャッフル・フライデー Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
鮮やか
ディズニーのオープニング、ダサいよね。
前はシンプルにビシッと決めるセンスの良さがあったんだけど、それができなくなって、ゴテゴテさせて何とかした風にしてる感じがするの。
いまディズニー作品も、そういうところあるよね。
そう思いながら観始めたんだけど、この作品、前半はヒドイよ。本当にヒドイ。
「さあ笑え、笑えよ!」って笑いのシーンを入れてくるんだけど、そんな必死な顔して迫られたら笑えるものも笑えないよって感じなの。
フードファイトのシーンは本当にヒドイ。
このシーン、仮にメチャクチャ面白かったとしてかろうじて許されるかどうかだと思うけど、全く面白くないからね。
ただ食べ物を粗末に扱っただけ。ここはヒイた。
そもそも「入れ替わりもの」と思ってみてるから早く入れ替えて欲しいんだけど、事情説明に時間取られちゃってるんだよね。
それでも笑えないシーンを連発しつつ、なんとか入れ替わった。
ここからは入れ替えアルアルが続くから、まあ、観ていられるね。
笑いのセンスは相変わらずだけど、アルアルが強く効くので、そこまで気にならない。
それで少しずつ、入れ替わったために分かる各人の本音が語られてくね。
「(アンナの)強い想いがハーパーを遠ざけてしまうことを恐れてる」がジャブだね。
それでうまくまとまるのかなと思うとリリーがやらかすんだよ。
それでアンナとエリックの結婚が御破算になる。
最初からハーパーとリリーはそれを望んでたんだけど、みんなの本音を知って事情が変わってんだよね。
この残念感がうまい。
でもリリーはなんとかしなきゃって、エリックの車を止めるの。
ここ良かったね。
リリーはテスの見た目をしてるから、エリックは紳士的に対応するの。
でも、言い合ってるうちに、どうしても感情が抑えられなくなって、それが『娘が一番大事だからだ。妻を失って娘も失ったら、僕は耐えられない』と爆発するのがいい。泣いた。
アンナはポップスターのエラに呼び出されてコンサート会場に行くと「あなたの歌をやるから舞台に立って」と言われるの。「ママがジェイクを想って書いた曲よ」とイジワル言うんだけど、「あなたのことを想って書いた曲よ」で気持ちが通じ合う。
ここからはロックステージでいいね。「私は必ずあなたを一番に選ぶ」「私もママを一番に選ぶ」で完全和解。
そして入れ替わり解消で、アンナ・オン・ステージかっこいい。
エリックとの結婚もうまくいき、万事めでたし。
この作品のスタッフ、笑いのセンスはまるでダメだよ。そこだけ別の脚本家雇えば良かったのにと思うほど。
でも、本音をぶつけ合うところのつくりが卓越してる。
前半のヒドさを忘れさせる鮮やかさだね。
テレビだとチャネル変えられちゃうからこのつくりは成立しないけど、映画だからギリギリ成立してくるし、良いなと思ったよ。
この作品、続編なんだね。前作はもっとシンプルな作りになるから、鮮やかさが期待できそうだから、観てみよ。