「認知症の恐ろしさを考えてしまう」父と僕の終わらない歌 プライアさんの映画レビュー(感想・評価)
認知症の恐ろしさを考えてしまう
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聡には若い頃、歌手デビューできる絶好機があった。
でも当日に桃李が生まれ、オーディション受けられず。
今は認知症になってた。でも歌を聴いてる時は改善する。
桃李は音楽を聴いてノリノリでで歌う聡を録画した。
やがてそれがネット上でバズった。
それを見たレコード会社からデビューの話が来る。
ところが、上記動画が売名行為と誤解され、炎上。
デビューの話もなかったことになる。
桃李は10年前、父に同性愛をカミングアウトした。
その時は受け入れてくれたようだったが・・・。
聡の認知症は日に日に酷くなり、暴力的になって行く。
同性愛を引き合いに出され、お前は恥だとキレられる。
お前なんて親じゃない、そう告げる桃李。
ところがその夜にはそんなこと忘れ、優しい父に戻る聡。
また心が揺れ動く桃李・・・。
桃李はレコード会社の人と再度話してみた。
またバズるようなら改めてデビューも考えるとのこと。
なので小さな会場ながらソロライブの開催にこぎつける。
が、歌の時は健常となるはずの聡が本番中に歌詞を忘れる。
そこは桃李が行って優しくサポート、事なきを得る。
こうしてライブは成功裏に終わった。
ところが終了後、桃李を息子だと認識できない聡がいた。
ショックな桃李。その機に、息子をどう思う?と聞いてみた。
「おれにとってヒーロー」、その言葉が全てだった。
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おれの父は幸い、非常に元気でふつーに1人で出歩いてる。
でも96歳。いつ認知症になっても不思議はない。
だから認知症関連の話は極力見に行くようにしてる。
もし自分がそうなった時、少しでも耐性がついていたいから。
この作品はまさに、明日は我が身という作品だった。
桃李ってこういう悲劇的な役をいつも見事に演じ切るよな。
ホンマに繊細な人なんやろうね。すっごい共感して涙したわ。
でとにかくみんな優しい。桃李はもちろん、聡の嫁も友人も。
桃李の友人、商店街の人達に至るまで、みんな。
聡の人柄なのか??現実でもこんな人に囲まれてたらいいな。
とにかくもうずっと涙が止まらんかったわ。
聡が音楽を聴いてる時は健常になるみたいに、
認知症の人には、その人を象徴する何かが脳にいいんやってさ。
じゃあおれの親父がそこまで好きなものって何?
うーん、思い出せない・・・ってか、ないと思う。
世のため人のために動いてるような人やからなあ昔から。
そのこと自体は素晴らしいが、心から賛同するわけではない。
おれは自分らしく、好きなことに没頭する生き方を選びたい。
どっちが正しいのかなんて分からん。色々考えさせられるな。
そういや認知症の進んだ親から自分が認識されないことを、
おれはそんなに恐れてないし、受け入れられる気がしてる。
実際にそうなったら分からんけど、諦めがつく気がする。
逆に認知症末期の親にまで認識されたい感覚の方が分からん。
色々考えてはしまうが、なるようにしかならん。
おれはおれの生きる道をひたする歩いて行くのみ。
何か知らんけど、そういう結論に収めることにしたわ。