「シナリオは悪くない」ザ・キル・ルーム 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0シナリオは悪くない

2025年1月7日
iPhoneアプリから投稿

キャスティングは非常に良い、
演出面に関しては大きな疑問が残る。

サミュエル・L・ジャクソンやユマ・サーマンといった実力派俳優を揃え、
二人のコンビネーションに期待が寄せられるが、
監督の演出はその力を十分に引き出せていない。

具体的に挙げると、
セリフの部分に注目すると、
カメラワークがそれに追従しているだけで、
感情や内面的な動き、
企み、悪だくみが伝わってこない。

胸の奥や腹の底から湧き上がる感情を映し出すようなカットや演出が欠けており、
キャラクターたちの微妙な心情や揺れ動く思いを感じることができない。

セリフのやり取りをただ撮っているだけで、
俳優たちの表情や動きの間にある余韻が欠如しており、

その結果、

くせ者だらけのだましあいやドラマティックな緊張感が薄れている。

特に印象的だったのは、
サミュエル・L・ジャクソンとユマ・サーマンのふたりの芝居のシーン。

彼らの顔を横から撮るという構図が選択されているが、
これではそのキャラクターたちの内面的な葛藤や感情が表現しきれていない。

サミュエル・L・ジャクソンやユマ・サーマンは、
その演技力で観客を引き込む名手であり、
もっと顔の表情や目線を通じて腹の底を伝える瞬間を見せて欲しかった。

彼らの繊細な演技を十分に引き出せなかった点が非常に惜しい。

一方で、

シナリオ自体はかなり魅力的だ。
ザ・バッグマンが売れていく展開や、
レスリーやアニカといったキャラクターの個性がしっかりと描かれている、

特に、メイ・リーやキモノの批評家のキャラクターは非常にユニークで印象的だ。

彼女たちの存在が映画にアクセントを加えており、
ストーリーにおけるちょっとしたユーモアや風味を提供している。

しかし、これらの面白い要素やキャラクターたちのやり取りも、
演出の欠如によって十分に生かしきれていない、

ユーモアのタイミングや、
キャラクター同士の駆け引きがもっと精緻に描かれていれば、
より深く楽しめただろう。

カメラの問題というよりも演出の方法と推測できる、
プロデューサーでもあるユマ・サーマンも、
現場で確認していただろう、

ということは、
製作サイドの狙いとしてこれでOKだったということだろう。

Hey siri は笑えた。

蛇足軒妖瀬布