劇場公開日 2025年2月28日

「アルゼロ初見。観たいものは観られた」アルドノア・ゼロ(Re+) つつじさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0アルゼロ初見。観たいものは観られた

2025年3月2日
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鑑賞方法:映画館

友人と会話中に別の人間が入ってきて、それまでの話の流れを説明するという経験は誰もが一度はしたことがあるだろう。その話をしている最中、おそらく友人は「早く話の続きをしてくれよな~」という表情をしている。だからあなたは必要な要素だけをさっさと説明して、続きを話そうとする。

この映画はそのくだりが大体90分くらいある。

大部分は最初の例でいうところの「別の人間」向けの総集編映画であり、「友人」向けではない。
しかし、「話の続き」にあたる雨の断章自体は今までアルドノア・ゼロを追い続けた「友人」向けの物語であるため、「友人」はそこまで我慢して観たいか否か天秤にかけるほかないだろう。

雨の断章が伊奈帆とスレインに焦点を当てた物語であるため、総集編も伊奈帆とスレインの関係にフォーカスを当てて作られている。多分そのはずだ。私は他にどういったシーンがあるかを知らないが、外交に直接かかわらない現場のキャラクターが印象に残らなかったことからそう推測している。

火星と地球の確執、スレインの出自や伊奈帆の人間性など、雨の断章を理解するための最低限の事情は理解できるようになっているため、24話を観きる体力のない私のような人間にはありがたい。
しかし、とにかく駆け足で進むため2時間他のことを一切考えない集中力が要求される。ちょっと明日の晩御飯のことを考えようものなら、次の瞬間はもう時代に取り残されてしまうだろう。

そうした事情のために雨の断章に直接かかわりのない要素を切るのは仕方のないことだが、カッコつけたセリフを言った敵が瞬きのうちに爆散するのはテンポが良すぎてしばしば笑いを誘う。

そんなこんなでたどり着く雨の断章は鑑賞者にとっても、スレイン・伊奈帆にとっても休息地となる。
はたして「別の人間」は「話の続き」で「友人」になれるのだろうか。

新作分の作画はいっそう現代的になり、映画館にふさわしい美しさを備えている。
もし少しでも興味があるならば、劇場での鑑賞をおすすめする。

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つつじ