「ウルトラマンという名の、スーパーマンのヴィランがDCコミックスに初...」スーパーマン インステアさんの映画レビュー(感想・評価)
ウルトラマンという名の、スーパーマンのヴィランがDCコミックスに初...
ウルトラマンという名の、スーパーマンのヴィランがDCコミックスに初登場したのは1964年8月で、日本のTV「ウルトラマン」より約2年早い。
さて本作は子供の頃映画館で観た「スーパーマンII冒険篇」と同じぐらい面白かった。考えてみれば凄いことだ。いい歳して子供の頃観たスーパーマン映画と同じぐらい楽しめたのだから。マーベルも「マン・オブ・スティール」もそれなりに楽しめたが、今作の方が純粋に面白かった。
全体的にパロディ風味であるし、マーベルからヒントを得ている部分ももちろん多々あるわけだが、いろいろバランスがよかった。グリーンランタンやクリプトなどは、コミックを知らなくても、そういうものだと理解できると思う。不殺の聖人であるスーパーマンというキャラクターのせいで、カタルシス不足になるところを、これらサブキャラの超人やメタヒューマンやスーパードッグが補っている。その分スカッとしやすい。
ただスーパーマンの代わりに暴力を振るってくれるサブキャラという構図が、今回のを引き継ぐ2作目となると見え透いてくるだろうから、続編を面白く作るのはなかなか難しくなるだろうなとは思う。
SNSで誤解が広がって孤立してイライラするという、現代風の人間味を加えたスーパーマンについて賛否両論あるようだが、赤ん坊の頃から現代のアメリカで育ったのなら、現代人っぽくはなるだろう。そもそもスーパーマンの映画は過去作でも、あまりに強すぎるキャラ設定ゆえに、いつもその強さに枷を付けて(たいていクリプトナイト)、中盤の苦戦でしばらく引っ張るというのが毎回のパターンだったのだが、今回はそこにも変化球が効いていて、大衆からの孤立、敵視に打ちひしがれる弱さという趣向は、新しくてよかったと思う。
クリストファー・リーブの「スーパーマン」第1作、「マン・オブ・スティール」、今回の「スーパーマン」と、いずれも傑作揃いで喜ばしい。ただしシリーズ化への不安はある。パロディ風味と現代的解釈の新味に大きく依存している映画だったから、この設定を引き継いだ続編に強い興味をそそられるかと言えばそうでもない。とはいえこの映画には満足したので、純粋にこの映画の点数は星5をつけたい。