「どうすればフェイクニュースに勝てるのか」スーパーマン 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
どうすればフェイクニュースに勝てるのか
フェイクニュースとテクノロジーを駆使するヴィランと対峙するスーパーマンを描く内容だ。どれだけ超人的パワーをもっていても、絡め手の情報戦の前には苦戦を強いられる。現実でも、みんな苦戦している部分だ
敗北から物語がスタートするのも面白い構成だと思った。スーパーマンをどう位置付けようとしているのか、冒頭の描写でよくわかるようになっている。超人的な強さを見せつけようという作品ではないといういうわけだ
スーパーマンは侵略者か否か、両親の思惑はどうあれ、彼はどう行動したかが問題だが、人々はそうは思わない。アイデンティティポリティクスではなく、個人を見ることの大切が描かれている。
そして、なにより弱気を助け強気をくじくというヒーローの大前提を大切に描いていることがひしひしと伝わってきて、そこが素晴らしかった。旗を立てる少年はスーパーマンの善性を信じたのだ。あんな風に今、何かを強く信じることが難しい時代だからこそ心に響くものがあった。もう一度ヒーローを信じようというシンプルな思いがこの映画にはあった。
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