「活躍する動物キャラの系譜 ジェームズ・ガンに大拍手!」スーパーマン たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
活躍する動物キャラの系譜 ジェームズ・ガンに大拍手!
間違いなく面白い一級エンターテインメント作品なのだがB級おバカ映画出身のジェームズ・ガンがDCスタジオのCEOとなって遂にこのアメリカンスーパーヒーローのレジェンドを自らの脚本で監督する日が来たのか!という感慨が大きい。そして世界中の注目と期待が高まる中、自分を曲げることなく見事に大仕事をやってのけた彼に大拍手を贈る。何といっても世間に知られないようにというクラークケントの秘密ハラハラ部分(電話ボックスで着替えたり)をバッサリ捨てて、2時間の枠内に「移民・侵略戦争・SNS」という今日的テーマを盛り込み明るくスカッと爽やか感動のエンディングに至らせる脚本が秀逸!もともとはマーベルとDCコミックという2大アメコミ出版社の競争(昔の日本でいえばマーベル=サンデーvsDC=マガジン的な?)がキャラクター映画化権の関係からディズニー対ワーナー・ブラザースの頂上決戦に発展しディズニーに追われたジェームズ・ガンが「ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結」でDCスタジオの新時代を拓き、今作できっちりとリベンジを果たしたことが痛快で嬉しい。そもそも彼がまともに正義の味方を描くわけが無く、今回メガロポリスを救ったヒーローは間違いなく脇役のミスター・テリフィックだろう。そもそもエイリアンたるスーパーマンを「移民」と位置づけ、地球征服が狙いだとSNSでたたかれる(それをPCで打たされまくっている猿の一団は「新聞記者」の内調職員たちのイメージにもろ被る)現代的スーパーマンに自身の恨みを投影して見せた。誰もが目を逸らせていた「大統領の許可を得て出動しているのか?」「スーパーマンの親が望んだのは地球征服だろ?」「マンと名乗ってるけど人間じゃないだろ?」という身も蓋もない疑問を正面からぶつけて描き切っていることが素晴らしい。エイリアンとの戦いはジャスティス・ギャングに任せて、スーパーマンは危機に面したおばちゃん一人、少女一人、そしてワンちゃん一匹を助けるためにそのパワーを発揮するのだ。