劇場公開日 2025年7月11日

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「どこからどうみても、ガン監督が描き続けてきたヒーロー像なんだけど、同時に元々のスーパーマンの姿でもある一作」スーパーマン yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 どこからどうみても、ガン監督が描き続けてきたヒーロー像なんだけど、同時に元々のスーパーマンの姿でもある一作

2025年9月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ジェームズ・ガン監督は、どこかへなちょこなところがあるけど、弱い立場の者の側に立たないではいられない(ただし流血は厭わない)というヒーロー像を繰り返し描いており、本作はそうしたガン監督のヒーロー観の現時点での集大成的な内容となっています。

自分の正義を疑わず、時には激昂して言い返すところもあるけど、自らが傷ついても人々のために矢面に立つ決意には偽りがない。そんな彼の描くスーパーマンは、DCコミックのヒーローというよりも、やなせたかしの描くアンパンマンに近いものを感じます。

ガン監督の意図はともかくとして、スーパーマン(クラーク・ケント)が米国社会の「移民」であることを強調したり、中東で民衆が軍隊によって圧殺されようとしている状況を盛り込むなど、現在の世界情勢を踏まえれば多分に政治的な要素を含んでいるのですが、そこに説教臭さはなく、ここで石を投げてもいいのか、見過ごしてもいいのか、と、「自分でもできること」を考えさせるような作りになっています。

超人的なヒーローが能力を発揮したら一瞬で状況が変わるんだから、力のない一般人がいくら努力したって無駄じゃん、というヒーロー物語に付きまという鬱屈にも、ちゃんと描写を重ねて努力の意味を説いているところも素晴らしいです!

ガン監督のもう一つの持ち味として、過激なバイオレンス描写を毒気たっぷりのユーモアで入れ込んでくる、というものがありますが、本作ではスーパーマンに代わってスーパードッグのクリプトがその役を一身に引き受けています。その暴れっぷりもまた、本作の注目ポイントの一つになっていました!

yui
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