「腕力では問えない強さに」スーパーマン 大雪さんの映画レビュー(感想・評価)
腕力では問えない強さに
ジェームズ・ガンのファンとして観に行きました。
映画としての完成度も高かったし、ジェームズ・ガンの映画としても非常に完成されていたと思う。
スーパーマンというヒーローの代名詞を中心に据えて現代劇を描くとすればこうなるだろう、と腑に落ちる点が多々あった。
最初から負けてる(マイナスからスタートしている)のは、かなりチャレンジだったと思う。ボコボコに負けた後に恋人とも喧嘩して敵の策略で貶められて「スーパーマン虐め」はかなりやられていた。
多様性とか色々言うくせに人との差異に敏感で他者に怯えている現代人とSNS。ストーリーにSNSを組み込んだのは、色々あったジェームズ・ガンなりの答えなのかも知れない。
特によかったキャラはグリーン・ランタンだ。口では悪口や皮肉を連発してはいるが、スーパーマンに対しても強く憎んでいるわけではないし、仲良くするつもりはないし、ただ言いたい事は言う。というある意味ものすごく現代人として正しい姿かも知れない。何より、やるべきことをきちんとやっている。
次いでクリプト。最後の最後までルーサーに止めをさせないスーパーマンだったが、このワンちゃんが滅茶苦茶にしてくれたおかげで観ている側の溜飲が下がる。この映画最強キャラはこのワンちゃんだった。
敵役のルーサーは、正直微妙。間違いなく天才だったが、スーパーマンが現れた事によって歪んでしまった人間というのはちょっと陳腐だった気もする。
スーパーマンを取り巻く環境、生みの親や仲間や敵や恋人や育ての親との関わり合い。スーパーマンが独りぼっちで苦悩するよりもその時々の考えを一緒に考えようとしている姿勢は非常に現代人っぽいと思う。
特に、エンドクレジット後に余計な口を叩いて相手を傷つけてしまった後に「ああ、やっちゃった」みたいな小さな悩みは実に人間らしい。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。