「未来あるスーパーマン✨」スーパーマン ミドランさんの映画レビュー(感想・評価)
未来あるスーパーマン✨
ジェームズ・ガン監督の『スーパーマン』、面白かった。
なんか、俺から見るとトンチンカンな批判があるので、ちょっと語りたい。
そもそも、スーパーマンって無敵のオンリー「マン」で、性格も謹厳実直明朗健全、圧倒的なパワー、時間の巻き戻しさえ出来ちゃう。
最初っから完璧で、それは大谷翔平とも重なり、「はいはい、あなたはスーパースターですよ!」と、なかなか物語るべき勝負の起伏を見出しにくい存在だった。
『北斗の拳』のケンシロウが強敵たちと決着がついてからも、少年ジャンプあるあるで連載を終わらせてもらえず、無敵な男の世界漫遊記的な展開になってから急速に人気が下落したのと同じで、「スーパーマン」は先細りの設定であった。
その設定を引き継いだ『スーパーマン リターンズ』などは、再開した一作目にして、途中から退屈になってしまった(恋愛物としては良かったか?)。
ザック・スナイダー版は頑張っていた。
人間のバットマンが、科学の力を借りているけど、スーパーマンといい勝負をかますのだから。
ただ、ザック・スナイダーは硬派なんだよなぁ。
所詮はコスプレヒーロー物であり、一歩下がって、我に帰って眺めると、硬派でシリアス過ぎると恥ずかしいんだ(とは言え、それがマーベルヒーローとは違う、DCヒーローの持ち味なのかなとも思った)。
『ジャスティスリーグ』なんて、前半は、スーパーマンが死んでいたからこそ危機感が成立していた。
だからこそ、今回の作品の、時にはやられる強さ、多くの超人たちの中での【特別な突出した能力】の一人であること、超人パワー以外では田舎で育った素朴な青年、ひたすらに人命を優先する優しさ、などなど、無敵であること以上に、こちらの感情移入が出来る設定は良かったと思う。
ザック・スナイダー版の「スーパーマン」には、米国などでは熱狂的なファンがいて、公開前、まだ誰も観ていないのに、ネット上でネガティブキャンペーンが張られたそうだ。
そして、同時公開の日本だ。
俺はスーパーマンのファンではないけど、話題の大作は早く観たいので、初日朝イチで観た。
そして、その「作劇的に行き詰まりを見せないスーパーマン設定・スーパーマン像」に安堵した。
他の超人たちだけじゃなくて、デイリープラネット社、いや、ルーサーコープのメンバーたちでさえもチームで、それぞれに個性がある。
登場人物それぞれに魅力を持たせていた。
いろんな超人が説明もなしにドンドン出てくる、不親切極まりない、の意見は、作り手があえてそうしているんだから、それを理解できない不徳を恥じるべきで、それを理解できてこその是非だろうと思う。
安易に批判など出来ない出来の作品だ。
未来がある、これからも活躍し続けるスーパーマンと、その世界だ。
海外での批判を聞き齧った日本の一部の人の批判がクリストファー・リーブ版を引き合いに出していることに大笑いした。
正直、あの時代に、タイムリーに映画館で観ていた俺の感想は「スーパーマン、強いけどダサッ‼️」だった。
アメリカでは、ザック・スナイダー版の熱狂的なファンが、その愛ゆえに新作をくさしている。
それにいっちょ噛みして、日本では、おそらく何十年も思い出していなかっただろうクリストファー・リーブ版のスーパーマンを至上とする感想を読まされると苦笑いさせられる。
ただ、やはりスーパーマンはオンリーマンである。
今後、作品として、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「スーサイド・スクワッド」のチーム性との作劇上の差別化は絶対的に必要である。
今回が、スーパーマン、ギリギリのキャラ立ちである。
これ以上は埋もれてしまうことがないように…。
なお、スーパーガール、可愛ぇ❣️