「カル=エルとクラーク・ケントとの間で…」スーパーマン もういくつ寝ると…さんの映画レビュー(感想・評価)
カル=エルとクラーク・ケントとの間で…
新旧作品のあらゆる要素を詰め込んで、全編通しての怒涛のアクション。
IMAXだと情報量が多すぎて…エンドロールではヘトヘトになっていた。
それはともかく…
旧作を観てきたファンにとって、最大の違和感は…スーパーマンの養父、ジョナサン・ケントの扱いではなかったか。
‘78版でグレン・フォード、近作ではケビン・コスナーとイケオジ大物スターが渋く演じて来た役。
今作では…プルイット・テイラー・ヴィンス…って誰? 何かの映画で見たような気はするけど記憶にない。(決してイケオジでもないし、はっきり言って小太りのカッコ悪いオジサン)
……ジョナサンだけでなく、ジョー=エル、レックス・ルーサー、編集長…旧作ではマーロン・ブランド、ラッセル・クロウ、ジーン・ハックマン、ケビン・スペイシー、ローレンス・フィッシュバーンなど主役級の大物が名を連ねるが…今作は?
後で調べてジョー=エルがブラッドリー・クーパーだと知って驚いたけど…基本的に大スターが不在だ…このことがこの荒唐無稽な物語にひとかけらのリアリティを与えていると思われる。
話をジョナサンに戻します。
旧作でのジョナサンは…ケントが若かりし頃に死亡、そのことがきっかけとなりケントはスーパーマンへの道を歩きだす…という役どころ。
つまり、今作の時系列では既になくなってるはず。
色々詰め込んだ今作の最大のテーマには、この改変が必要だったと思われる。
“スーパーマンとは何なのか”というテーマ。
これはもちろん、劇中の主人公の自分自身への問いであるが…同時に、脚本・監督のジェームズ・ガンの疑問だったのではないか。
カル=エルとクラーク・ケントとの間で自身のアイデンティティを見失うスーパー“マン“。
レックスは言う…彼はスーパーだが”マン=人間”ではない…。
ロイスに感情的な言葉を吐き、アメリカ国民から罵倒され、心身とも傷ついた彼を正しい道へ導くのは…やはり養父のジョナサンでなくてはならない…彼はクラークにとって、“アメリカの良心”そのものだからだ。そして、ジョナサンは…スーパーマンに空き缶を投げつけるアメリカ人と同様…一般的なごく普通の人物でないといけない…とジェームズ・ガンは考えたのではないか…。ま、勝手な想像ですが…
ラストでロボット4 がスーパーマンに見せる“両親の写真”が、とても印象に残る。
(ロボット4の声は…レジデントエイリアンのアラン・テュディックらしいが…気づく訳ない!)
とはいえ…鑑賞後に私を疲れさせたので星は少なめにしておきます。
最期に…ジョン・ウィリアムズのテーマ曲は赤パンツによく似合う!