劇場公開日 2025年7月11日

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「共感可能な青年ヒーロー」スーパーマン neonrgさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 共感可能な青年ヒーロー

2025年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映画としての完成度は非常に高く、娯楽作品としては十分に楽しめる出来でした。映像演出やテンポ、キャラクターの扱いなど、細部にわたってよく作り込まれており、特に最近のマーベル作品がやや低調に感じられる中で、DC映画としては良い仕上がりだったと思います。

ただ、技法的に優れていても、作品の核となるようなテーマ性や倫理的な問いかけが薄かったためか、記憶に強く残る構造が感じられませんでした。

過去のスーパーマン像――たとえば1978年のリーヴ版や、ヘンリー・カヴィル版に見られたような「神に近い存在」としての孤独や葛藤は、今回ほとんど描かれていません。本作のスーパーマンは仲間も家族もおり、理解ある恋人やお世話ロボット、同じような力を持つ犬やいとこまで登場し、孤独とは無縁の存在として描かれていました。つまり、“神話的ヒーロー”というよりは、“共感可能な青年ヒーロー”として再定義されていた印象です。

また、ドラマ『ピースメーカー』や他のDCキャラクター(ホークガール、グリーンランタンなど)とのユニバース的つながりも意識された作りでしたが、単体映画としての“内的な完成”という点では、やや薄味だったように思います。

良質な娯楽映画でありながら、観客の内面に残る“問い”や“余韻”のようなものが少なく、数時間後にはするすると記憶から抜け落ちてしまう。その意味で、非常に現代的な作品だと感じました。

鑑賞方法: IMAX

評価: 77点

neonrg
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