「生きづらさと自分探し」ケナは韓国が嫌いで himabu117さんの映画レビュー(感想・評価)
生きづらさと自分探し
ある意味モラトリアム映画だろうか、若いうちは大いにあっていいと思います。ただ、日本社会は、新卒カードという言葉があるように、やり直したり遠回りすると就職には不利になるのも確か、このあたりが難しいなと思うんだけど、選択はあくまでも本人だからな
考え方一つだというけれど
大学出ても、満足な就職がない。
やっと就職できても。
片道二時間の通勤地獄。
サービス残業当たり前。
パワハラも。
これは、全てこの映画に当てはまるわけではないけど。
となると、ある程度財力というか余裕のある人は、海外での道を探る。
そんな、主人公。
かといって、海外でも、思ったほど上手く行ってない模様。
ある種のモラトリアム映画だろうか。
私の友人は、国立大学を出て、海外青年協力隊に4年参加した。
当時、すばらしい自分の道を開拓するためのチャレンジと。
羨望の眼差しを送った。
40年たって、沖縄に在住する彼を訪ねて、当時の気持ちを尋ねた。
「就職したくなかった、サラリーマンになりたくなかった」
「モラトリアム」だよと、サラリと言った。
出稼ぎとは違う、自分探し
移民問題が取り沙汰されている。
彼らは、より良い生活を求めて、移動する。
良ければそこに定住する。
でも、来てほしい人と来てほしくない人もいる。
これも本音。
主人公もある意味、そうなんだろうけど。
ただ、自分探しの趣のほうが強い。
だから、移民ほどの切迫感はないんだけど。
青春の旅路なんだろうな。
生きづらさを感じる韓国社会
ひしひしと伝わってくる。
主人公の親世代は、こんなもんだと受け入れているけど。
主人公のように、若い人は大きく違う。
そんな、韓国社会をよく表現している。
グローバル化の中で、自国にこだわることもない。
じゃあ海外でという流れも。
でも、そう簡単ではない。
もっと条件悪くなるかもしれないし。
だけど、原作がベストセラーになったように。
韓国以外での道を探す若者の願望が、見て取れる。
そうやって、自らの進んでいく道を探すんだろうな。
若さは、うらやましい。
SNSの発達で狭くなる世界
便利なツールではあるけど。
最近の日本でも、つくづくそう感じる。
使い方にもよるけど、世界が広がるのではなく、逆に狭くなる。
ある不満をXでつぶやく。
あるいは、芸能人が、ブログで日常の出来事を書く。
ときにそれが、炎上したりして。
つぶやきの世界とか、その界隈とか限定されていて。
意外と、窮屈。
有名人となればなおさら、テレビで言った一言のため謝罪を繰り返さなえればいけなかったり。
まあ、問題発言ならしょうがないけど。
そのことが、SNSでものすごい勢いで拡散してゆく。
そう、生きづらい、嫌な時代だと思う。
そんなとき、ケナのように脱出試みるんだろうか。
でも、インターネットは世界中で追いかけてくるよね。
ケナに限らず、私達の逃げ場所は、どこにあるんだろう。