フロントラインのレビュー・感想・評価
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マスコミの報道の功罪
本作は新型コロナウィルスの集団感染が発生した、ダイヤモンドプリンセス号の中で起きた事実に基づいた映画です。
あの時、テレビで観て勝手に思い込んでいた負のイメージが、いかに間違っていたかを思い知らされる内容です。あの時、船内で何が起こっていたのか、医療関係者が未知の感染症とどう闘ったのか、今こそ知るべきだと思います。
また、マスコミの報道がどれだけバイアスのかかったものであったか。報道に携わった人達、それに踊らされて差別に走った国民一人一人が胸に手を当てて、我が身を振り返るべきです。
誤解と感謝です!
悔しすぎて、切なすぎて、涙が出そうになりました。
そして、最後の池松さんのシーンは涙が止まらなくなりました。
無理を承知で言いますが、この映画は
今ではなく、ステイホームの要請があった頃に見るべき作品です。
凄いメッセージ性があります。
この映画をあのとき放映されていたら、差別も減ったろうし、マスクの買い占めする人も減ったろうし、思いやりのない発言も減ったのだと思います。
DMATの方たちや、厚労省の方たちがこんなに苦労されていたなんて知りませんでした。
(そもそもDMATを知らなかった💦)
この方たちはもちろんですが、医療従事者の方々にも、改めて心から感謝です。
そして、ダイヤモンド・プリンセス号に乗っていた方たち…
本当に大変だったでしょう。
もし自分が異国の地で、未知のウィルスが原因で、家族バラバラにされて、監禁されて、差別まで受けたら、不安なんてレベルではないでしょう。
1番最低なのは、メディアです。
彼らがきちんと報道してくれてたらと思うと、腹が立ってきた笑笑
今からでも遅くない!
多くの人たちが見るべき作品です。
星4にしたのは、前半が当時の身勝手な人たちを思い出して、気分が悪くなって、途中で見るのやめようと思ったからです。
前半の1時間の演出に少々不満ありますが、最後まで見て良かったです。
あと、キャスティングは最高ですね!
やはり使命感で働く人たちを本当にカッコ良く演じてくれてます!
最悪のタイミングでの鑑賞
実話ベース
やっと観ました。2020年2月に起きたダイヤモンド・プリンセスでの新型コロナウイルスの集団感染を題材にしたお話ですね。もう5年も前なのか…。当時ニュースで連日見ていたはずなのにどこか他人事みたいに感じていて、新型コロナウイルスが全国に拡がってきてから事の重大さに愕然としたんだよな。
未知のウイルスの治療にあたる災害派遣医療チーム(DMAT)を中心に描かれるんだけど、私は一貫して命を救う事だけを考えて動く仙道(窪塚洋介)が好きだったな〜。まあもちろんリーダーの結城(小栗旬)とか厚労省の立松(松坂桃李)の連携とかも胸が熱くなったんだけどさ。
ニュースだけでは知らない事もたくさんあったし、何となく覚えてる事柄の裏側も知れたので観てよかったと思う。クライマックスの岡崎医療センターへの乗客を運ぶシーンのドキドキした。医師の宮田を演じた滝藤賢一さんがめちゃくちゃよかった。
実話ベースで真摯に作った作品だと思いました。観てよかった。
珍しく真面目なレビュー
今回はおちゃらけた寄り道は一切しませんね。
疫過による甚大な被害に遭われて不幸にも命を落とされた方々も多数いらっしゃる題材だけに、珍しく真面目に語ってみますね。
この事件はニュースで見たか見なかったか程度にしか覚えていないんですよ。もう長い間、テレビを観るといった習慣がなくなってしまったもので。
加えて、当時はコロナへの恐怖も危機感も持っていませんでした。
後に私も罹患することになったのですが、軽い風邪程度の症状で済んだのは幸運でした。
実話ベースのお話ということで、ある程度の脚色はあるにしても、あからさまなエンタメテイストは避けられていましたね。
それだけに小栗旬のオーバーアクション気味の演技が浮いているように感じたのは本音。どうしても“ルパン三世”に見えてしまって困りました。
一方で松坂桃李は、こういうシリアスな劇で特に映える役者さんだと思いました。
表現者としてのスキルを磨くためにTVドラマへの出演を固辞していらっしゃる窪塚洋介の静と動の振れ幅を見せる演技にも魅入りました。
ですが、あまりにもイケメンの揃い踏みだったので、そこに違和感も覚えました。ここに小日向文世や佐藤二朗やあたりをキャストするなどの緩急をつけてもよかったんじゃなかな?と思いました。
別に小日向さんや佐藤さんがブサメンとは言っていませんよ。
枯れた大人の魅力を存分に発揮できる性格俳優さんがメインキャストにいてもよかったと思って。その点では滝藤賢一の登場はホッとしました。
今事件に限らず、報道という大役を時折はき違えてしまうマスコミのありかたの葛藤をニュースキャスター役の桜井ユキが好演でした。
劇中でモニタに流れるテロップの「ただ正しいだけでは組織は動きません」が大変印象的で重い言葉だと思いました。
正義。そんなものがないことは古今東西、火を見るよりも明らかな事実です。しかし何事においても決断は迫られるわけですよね。そこでリーダーシップ発揮して、なおかつ責任を取れる人物が“正しく”導いてくれないと大変困ります。
それ以前に、個々の決断はもっと大切だとストーリーの中のいくつものエピソードを観て思いました。結城が立松に託した言葉「偉くなってくれ」は旧態依然とした縦割り行政へのカウンターパンチだと思いました。
エンタメテイストを避けたことが、とても効果的に働いていました。実話ベースならではの臨場感や緊迫感がとても上手く演出されていて、飽きさせることなく一気に観せることに成功していたと思います。
なのに★-0.5は小栗旬のルパン三世の件です。小栗さんは何も悪くないです。勝手にそれを連想してしまった私が悪いです。
そして慣れないことをすると、途端に薄っぺらいレビューになってしまいました。
日本人として価値のある作品
かっけー
現実に起こった事件をテーマにした映画。個人的には「突入せよ!あさま山荘事件」を彷彿とさせました。とにかく、小栗旬、窪塚洋介、松坂桃李がかっこいい。「国宝」でいい演技した森七菜もよかった。
でも、当時の事を思い出してしまいました。マスコミから発信される情報や、ネットの情報に右往左往して、少なからず「自粛警察」的な思考になっていたし、今でも「インフルエンザが大流行」の報道で、思わず身構えてしまう自分に反省。
俳優さん達は抑制した演技なのですが、その中に実際にモデルとなった医師や公務員の使命感と情熱があふれていました。
得に、松坂桃李が嫌味な官僚なのかと思ったら、窪塚洋介の言を借りると「無茶する役人」で、かっこよかった。
思ってたより面白かった。
マスコミの存在意義
面白かった。脚色はしていると思うがダイヤモンドプリンセス号でこんなことがあったのかなと感じさせられた。専門ではないDMATが自分達しかいないと奮起して活動しているのは見ていてわかる、もし自分が乗船員だったら感謝しかない。
マスコミは視聴率気にするとこちらを煽る偏重的な放送はするんだろうなあ、数字が取れなければ担当者は大変かと思う、それは世の中の営業マンと同じ。数字があってこその仕事だが、では世の中のサラリーマンが数字取るために欺瞞や詐欺、嘘で固めた仕事をしてまで数字を取るかと言われるとほとんどの人はしないでしょう。もししたら新聞、テレビなどのマスコミさんで報道されかねない。やっていいことと、悪いことの区別くらい人として持っている方々が多いと思う。最近ではオールドメディアと呼ばれるマスコミはやってはいけない一線を越えているような気がする。
感染症対策がメインだったがそこが1番考えさせられる映画だなと思った。
乗客と接する最前線のヒロコ(森七菜)
大画面で観て正解でした。臨場感を楽しめました。長回しワンカットもあり、カメラワークが見ごたえがあります。
ヒロコに扮する森七菜さんが沢山登場して良かったです。
仙道(窪塚洋介)が好きです。キャラクターが窪塚洋介さんらしくて良かったです。
苦悩する結城(小栗旬)が主人公というところもポイントで、純粋で真っ直ぐな性格で好感が持てました。『シン・ゴジラ』(2016年公開)のパニック感を思い出したり、ゴジラつながりで『ゴジラVSコング』(2021年公開)に出演した小栗旬さんの変顔を思い出したりしました。
ダイヤモンド・プリンセス号の乗客が亡くなったとしても、DMAT隊員のせいでも受け入れた病院のせいでもありません。
この映画は、いろんな状況に置き換えて考える事ができて素晴らしいと思いました。
-- 妄想 --
①ダイヤモンド・プリンセス号が日本の横浜港に来たタイミングで騒ぐ計画。
②PCR検査というキャリー・マリスの発明をマッチポンプのために使用する。
③マスコミであっても例外は無く、組織の頭は身内以外には冷酷非情である。
④COVID-19は特許が存在する人工的なウイルスで、本当に怖いのは人である。
悪くはないが…。
作品性はひとまず置いといて、DMATの真実を描くという意味においては思惑通りの作品に仕上がったのだろう、という印象だ。
この作品を語る際に、当然ながら全員が当時のコロナウイルスやパンデミックの恐怖、感染への不安、当時の首相による「緊急事態宣言」などの話になってしまうと思う。だって皆が実際にコロナ禍を体験している「当事者」だから。つまり全員に「思い出」があり、誰もがコロナ禍を振り返れば何らかの感傷的な思いに浸ってしまうはずだ。
ただここで考えさせられる。
実際に体験して得たこれらの個人的なエモい感情と、いち作品に対する評価をどこまで混ぜ合わせるべきか、そのさじ加減がとてもとても難しい。例えば自分の友達が芸能界デビューしたらめっちゃ応援してしまうだろうが、その目線で盲目的にタレントとして褒めちぎってしまうと、友達としては正しくても何かしらの評価を下す人間としてはどこかフェアじゃない気もしてしまう。個人的な思い入れも大切だが、映画を観たときのレビューは基本的にフェアにしたい。そう考えるとこの作品に対する評価はそれほど高くはならないのだ。
あの時何が起きていたのかを知れたのは良かったし、DMATの活動には本当に敬意しかない。もしこれがドキュメンタリーだったら高評価に出来たのだが、あくまでも映画作品として冷静に観てしまうと「それなり」という印象に落ち着いてしまうわけで、それが面白くもあったが残念でもあった、というのが僕の正直な感想だ。
あの事件の再検証 「映画の持つ力」
映画『フロントライン』──人道と不可知の境界で
2025年公開の映画『フロントライン』は、2020年2月、日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」を題材に、未知のウイルスに最前線で立ち向かった医師や看護師たちの闘いを描く。
この作品は単なる再現ドラマではない。
脚本家が実話を基にオリジナルを書いた理由は、「正しい事実」を伝えないメディアに代わり、事実を再検証するためだったのだろう。
私たちは「正しさ」について思案する。
しかし、誰も一歩を踏み出さない。
踏み出した者を報道がどう扱うか、その反応が読めない怖さがあるからだ。
開業前の病院が感染者を受け入れた勇気ある行動も、報道次第で意味が変わる。
かつて「ペンは剣よりも強し」と謳われた言葉は、今や死んだ。
正義を語るはずのペンは、同意しない者を罰する暴力に成り下がった。
LGBTやSDGsの名の下に行われる「同調圧力」と同じ構造だ。
映画は、メディアの腐敗を鋭く突く。
DMAT統括の結城が「面白がってるんじゃないか?」と記者に向かって吐き捨てる場面は、報道の本質を暴く一撃だ。
だが、脚本は単なる批判に終わらない。
上野記者の葛藤に、不可知論的な「希望」を忍ばせる。
人間は完全な正義を知り得ない。
それでも、期待する心が物語を支えている。
思い出すのは1995年の地下鉄サリン事件だ。
聖路加国際病院の院長・日野原重明は、正体不明の物質に怯まず、献身的に治療に当たった。
あの人道的対応は、失われてしまったのか?
コロナでは、ウイルスの正体が判明していたにもかかわらず、医師たちは受け入れを拒んだのか?いや、そうではない。メディアが家族を危機に追い詰めるからだ。
本作が描くのは「責任」だ。
検疫官の責任、厚労省の責任、DMATの責任、現場の責任、そしてクルーズ船クルーの責任。
それぞれが負うべきものと、立場上負えないもの。その狭間で、人道的な正しさが問われる。
正しさは時代によって変わる。
しかし、人道的正しさには普遍性がある。
法律やルールがあっても、人道こそ最優先されるべきだ。
映画の終盤、六歳前後の外国人兄弟を分断せず、陰性でも陽性の弟と一緒にいさせる判断が描かれる。
もしそれが事実なら、日本を誇りに思う。
リアルホスピタリティは、単なるジャパンクオリティを超えた行為だ。
『フロントライン』は、歪んだ報道への一槍であり、「正しさ」の再考察である。
そして何より、人道的視点に立った行動が窮地を救うことを示す映画だ。
この魂が、「今現在」の日本にまだ残っていることを願ってやまない。
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