フロントラインのレビュー・感想・評価
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人間の愚かさ
覚えてますか?
初期のコロナで感染防止の為に
隔離した豪華客船。
それを題材にした物語。
とにかく怖い。
感染も怖いけど一番は
マスコミとそれに乗せられる民衆。
自分の子供が何も悪い事してないのに
クラスで「バイ菌」と呼ばれる理由が
父親の自分が医者だから……って何?
心に刺さる辛い涙。
でも、
ヤバいネタほど人は集る。
倫理もなく数字を追うだけのマスコミと
他人の不幸が大好きな人間達の愚かさ。
自分も人のこと言えないよ。
そして現場は現場で
みんなの言い分が全然違うプロジェクトを纏める。
しかも世間ではバッシングされながら。
そして、失敗するとそこには死。
地獄だよ、本当に。
映画だから見てられるが
仕事であの現場に行ってたら
鬱になってる気がする。
このスタッフに
心の底から敬意を表する。
そして、映画としてもみんなに観て欲しい名作。
あまり日本映画では得意でないノンフィクション系の映画の傑作だと思う。
これがよく出来ていてびっくり!
多分、脚本も書いた増本淳というプロデューサーの力だと思う。
監督が関根光才で、昨年の「かくしごと」の監督。「かくしごと」は、あまりいい出来ではなかったけれど、映像や演出はリアルで、レベルが高いと評価していた監督だった。それが今回、実を結んだ。
普通の人々がそれぞれ緊急で初めての事象に対応しなくてはいけない状況で、嘘くさい演技をしていたら、台無しになるのは火を見るより明らか。
松坂桃李の官僚や、医師の小栗旬や池松壮亮、窪塚洋介が抑えた演技で良かった。(いわば「シン・ゴジラ」のあのノリ)
それで、「シン・ゴジラ」よろしくいろんな困難な事態に対処してゆく。それが案外エンターテイメントとなっている。後半のバスでの大移動は壮観であり、なかなか緊迫したシーンになっていたし。
ラストに事態が収束して小栗旬と松坂桃李がお互いお疲れ様と言っているところで、窪塚洋介が扮する仙道先生がもう北海道で医療に従事している姿が!これがカッコイイ。「ダークナイト」のラストシーンを思い出した。
窪塚洋介は、ラストだけでなく、全編を通してカッコよかった。さすがです。
松坂桃李が最初官僚の上から目線の冷ややかさを演じて、それが最後には小栗旬の医師に対して「先輩」と認め敬意を払っている演技も素晴らしかったし、それを受ける小栗旬がしっかりしているからこそ映えるのだと思う。
今回は、小栗旬が演技者の中でいい要になっている。池松壮亮も良かったし、その妻役の前田亜季は出番が少ないながら、リアルな演技をしていて好感。
森七菜は、英語が上手くてびっくり。可愛く良かった。無駄な演技をしない。いい女優になりました。
あまり日本映画では得意でないノンフィクション系の映画の傑作だと思う。これからも良質なノンフィクション系の映画を期待したい。(特に政治系)
この増本淳プロデュースの「THE DAYS」も見てみよう。
缶コーヒーはポッカに違いない
5年前の狂騒が蘇り、人の咳払いにビクッとし暗闇を出て直ぐに置いてあるアルコール消毒ポンプをプッシュする自分がおり、当時コロナで近親者を亡くされた方には辛いというか見るに堪えないであろう日本での長期コロナ禍の発端となった事件をこんなにも早くしかも綿密にしかも面白いエンターテインメントとして作り上げた良くも悪くも増本淳プロデューサーの映画である。もともとフジテレビ社員で医療系のドラマを数多く手掛けていたそうで、半年かけて行った膨大な取材をもとに自らが脚本を書いたことが成功の要因だろう。監督が脚本を書くケースは多々あるが、映画を立ち上げテーマ・方向性を決めるPが脚本を書くことがぶれない映画制作の要で、事実を基にしているだけにこのプロデューサーと脚本がこれだけの役者を惹きつけ豪華キャスティングを成立させた。「DMATのヒーロー物語り」に偏ってしまう(まあそう見てしまうのだが…)ところをギリギリでこらえており、ましてや隊長の小栗旬自身が決断を迫られる悩みと優柔不断のあり様を素直に演じていて、危ない感じの窪塚洋介がゆるぎない彼なりの「正義」を貫くことで「目の前の命を救うか?感染拡大防止を最優先するか?」というテーマを見事に提示してみせた。意外な柔軟性を持つ厚労省役人の松坂桃李ももちろん良いが、ひと段落した夜の病院でぬるい缶コーヒーを池松壮亮に勧める滝藤賢一の演技が素晴らしい。
世界中の人に観てほしい作品
「家族に医師がおります」と言えなかったあの時期。
私の住んでいる地域で初のクラスター病院となり、離れて暮らしている実家まで村八分状態で、父母は会合にも呼ばれず回覧板さえ来ませんでした。子供は先生から呼び出され「検査してるの?」とまで言われました。その当時の出来事を思い出し、涙が止まりませんでした。
この映画は事実でドキュメンタリーを観ているような自分もまた登場人物のような錯覚になり、終わってからも席を立てませんでした。
映画だと細部までは表現できず、是非ともドラマ化してほしいと思います。
忘れつつあるあの出来事を、いま映画にする難しさがあっただろうにと感心した映画でした。
最後のマスクの跡とハグするまえのちょっと躊躇するシーンにまた涙がこぼれました。
名もなき英雄たち
2020年2月、皆このニュースに釘付けだった。SARS の流行はさほど影響のなかった日本、ここにきてどえらいものが襲来したな、と思ったものだ。その当時、断片的にしか把握していなかった状況が、今回フィクションとして我々の前に姿を現す。
いや、どんな困難な場面に遭遇しても、我々に出来ることは日々積み重ねてきたこと、当たり前のことを当たり前のようにやる。これに尽きるし、それ以上のこと、英雄的なことを、個々人が行える訳じゃないんだよな。目の前の困難・課題に対して、持てる力を注力して、ベストと思われる最善手を選択していく。その積み重ねが、日々物事を前進させていく。それしかないし、できないよな。
それぞれのプロフェッショナルが、それぞれの持ち場で、その日その時の最善を互いに尽くしていくこと。その集積が我々の日常を支えているんだな。他者と比べるでなく、私自身が何を成しうるのか、何で貢献していくのか・貢献できるのか。そんなことを考えさせられた。自身の人生や職業感について、改めて見つめ直すきっかけとなる作品だった。
(25.06.26追記)
吹越さん演じる六合。モデルとなった岩田健太郎氏の動画は当時リアルタイムでみた。言っていることは理にかなっているのでは?と当時感じたのは覚えている。但し、本作でも指摘されているように、人間は理だけで動くようにプログラムされていない。人を動かす、自ら動きたくなるプロセスを踏むこと、他者から信頼される自分であること。自分自身がそうであるだろうか?ということも点検していきたいもの。一朝一夕には自身に落とし込めないから。これもやはり自身の歩んできた道、歩んでいく道がモノを言うのだろう。
歴史的な作品で日本人が知るべき事実が描かれてる
あの時、あのクルーズ船でなにが起きていたのか?
作中でマスコミが面白く報道して、それが実はウソばかりで、ただ視聴者を煽ってるだけという感じで描かれてて、でも実際、私自身あの当時、報道を見て、その報道が伝えてることだけが事実として見ていた1人だったように思う。
まだコロナがそんなに流行り出す前だったし、なによひ緊急事態宣言より前だった?
コロナという未知のウイルスをまだ誰しもが甘く見てた頃だったんじゃないかな?
たから、あの時なにが起きていたのか、事実に基づい作られたこの作品を観たいと思ったし、観て良かったと思う。
戦争とは違うけど、でも戦争のように、このコロナ禍のことって忘れてはいけないし、受け継いでいかないといけないのだと思う。
医療従事者のみなさんほんとにありがとう、おつかれです。
それから五年
錯綜する正義
良心に従って行動した人々
コロナ禍の初期に起きた一大事として記憶に残る、豪華客船
「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染を題材にした映画。
実際の現場は大混乱で解決しなければならない問題が山ほど
あっただろうし関わった人の数は相当数だったに違いないが、
映画ではそれを上手く整理していて、展開が分かりやすかったし
登場人物も絞っているからとっ散らかった印象はなかった。
脚色の妙。取材に基づいた事実を描く部分と役者さんが演じる
ドラマ部分(ある程度のフィクション)との匙加減が絶妙に
良かった。
登場人物の(良い)人間性が現れる場面が随所に盛り込まれ、
当時どういった状況だったかを伝えるだけでなく人間ドラマ
として見応えがあった。
事実を伝える説明的な部分もあるにはあるが、それよりも
登場人物それぞれが”心を持った人間”としての言葉を発していて
響いてくるものを感じた。琴線に触れる言葉がたくさん聞けた。
我々一般人はニュースで見聞きしただけの事柄一つ一つが、
当事者にとってはどれも差し迫った問題だっただろう。
・今までなかった未知のウイルスの脅威
・国内に感染拡大するのを食い止める
・船内の感染者を救う
・入院が必要な患者の搬送先の確保や搬送手順
・船内では自分自身も感染の危機にさらされる
・濃厚接触者の対応
・大切な家族と離れ離れにならなければいけないのか
・異国の地で船内に缶詰め状態になる不安
・言葉の違い
・目の前にいる人を救いたいのに法律や制度が足枷になる
これらの問題に真摯に対応した彼らの行動基準が「いかに
人道的であるか」だった。杓子定規な対応では救える命も
救えない可能性があった。
災害医療専門の医療ボランティア的組織「DMAT」が現場で
対応した訳だが、彼らは決して感染症の専門医たちでは
なかった。それでも誰かがやらなければならない。
良心に従って船内の人々が全員下船できるまで尽力した彼らを
称えたい。
DMAT指揮官・結城英晴を小栗旬、厚生労働省の役人・立松信貴を
松坂桃李、現場で対応にあたるDMAT隊員・真田春人を池松壮亮、
医師・仙道行義を窪塚洋介が演じた。4人の演技が素晴らしかった。
この4人を中心に話が進みつつも様々な人々のドラマが心に残った。
横浜港に着いてもすぐに上陸できなかった乗客たちはお気の毒
だった。そして同様に、乗客へのサービスを継続しなければ
ならないクルーたちにも大変な苦労があったに違いない。
自分もいつ感染するかわからない。でもそんな不安は表に出さず
お客様へのサービスを続けたクルーたち。彼らに精神的に救われた
乗客も多かったはず。
ホスピタリティという言葉があるが語源はホスピタル(病院)と
同じらしい。相手に寄り添って最善を尽くす。医療スタッフと
同様に乗客のケアをしたクルーたちのこともきちんと描かれて
いて良かった。
元ホテルマンの自分としては森七菜が演じたフロントデスク・
クルーがホスピタリティを発揮して問題を解決していく姿に
共感できたし一番印象に残った。
彼女の行動が乗客にも医療スタッフにも良い影響を与えたのは
明確だった。
その他の人物についてもそれぞれの属性にふさわしい言動や
葛藤する様が丁寧に描かれていていずれも印象的だった。
良かった
真実をたんたんと描くことのすごさ…
すごい臨場感!!DMATかっこいい!!
地味な画を派手に
フロントライン
2020年2月横浜港、あの船で何が起こっていたのか。
数年を経て、ダイヤモンドプリンセス号船内の感染者とそれに対応した人たちの一部始終を、当然ある程度のフィクションを含めて、あの船の中で何が起こって、どう対処したのかを描く。確かにあの時の日本国民の多くは、マスコミの流す情報のみを鵜吞みにし、対応した医療班を無能扱い(それがいかに無知であり失礼なことであったか)し、対岸の火事のごとく傍観者を気取っていた。自分もその一人であったことを猛省しなければいけない。そして、船のクルーや医療班たちに敬意を払わなければいけない。一度その責任を負ったならば、冷静に最善を模索し、そしてそれを速やかに遂行する判断と決意と行動力。見事だった。終始事態に対応していた医療班小栗旬、窪塚洋介、池松壮亮、役人松坂桃李ほかの熱演もさることながら、受入れ病院側の滝藤賢一の熱量が半端なかった。自然とほほを涙が伝っていたのは、それだけ訴えかけてくるメッセージが強かった所以であろう。
ただね、ここを解決したところで事態は収束したわけじゃなく、このあとすぐ、数年続く本当の混乱と恐怖はやって来たんだよな。ともかく、この時の彼らに惜しみない賞賛の拍手を。
正解のない現場で、人はどう生きたか
コロナ禍の初期を象徴する「ダイヤモンド・プリンセス号」。
本作は、その混乱の渦中で最前線に立った医療関係者、行政職員、クルーズ船スタッフたちの姿を、多面的に描いた群像劇です。
ドキュメンタリーではなく、フィクションを交えたドラマだからこそ、各人物の葛藤や選択が人間味を持って描かれています。
「何が正しいか分からない」状況で、それでも自分の役割を果たそうとする姿勢に、観る者は自然と引き込まれるのではないかと思います。
キャスティングも見事で、人物の背景を多く語らずとも、立場や信念が伝わる演技が印象的です。
緊張感のある医療現場の描写から、人と人との信頼やチームワークの在り方まで、静かで力強い人間ドラマとして仕上がっています。
実際の出来事を基に「コロナ禍」を経験したすべての人にとって心に残る場面がきっとあるはず。
日常が戻りつつある今だからこそ、この出来事を風化させず、次に活かすためにも、多くの人に観てほしい一本です。
宣伝が上手い
最前線で、淡々とアツく
あの当時、私たちは何と戦うことを求められているのかと考えることがありました。
得体の知れない目に見えないウイルスなのか、国の頼りなさなのか、指示される対策の適切性への懐疑なのか、これまでの日常からの変容を求められる不安なのか、会いたい人に会えない不満なのか。
義務感に近い動機からこの作品を観賞して気付いたのは、あの機会は想像力の欠如への警鐘でもあったかということでした。
あれだけ報道されていながらも、当然あるはずの、DMATの一人ひとりの苦悩、乗客一人ひとりの不安、クルー一人ひとりの配慮、医療関係者一人ひとりの戸惑い、役人一人ひとりの錯誤を想像しながら情報に触れていた人がどれだけいたでしょうか。恥ずかしながら私は全く想い至っていませんでした。そして、毎日報じられていた「陽性者数」の「数」の動向にだけ注目してしまっていましたね。
それはメディアのミスリードだけが原因ではなく、やはり周りで起きていることよりも自身の安全を第一に考えていたためだったように振り返ります。
そうした環境のなか、まさに自身を犠牲にして闘われていた方たちがいた、その様子のほんの一部でも理解できたことは嬉しかったです。
一人ひとりの気持や行動が丁寧に描かれていたからこそのように思います。
若干、登場人物みんなカッコ良すぎだろって感じもありましたが、発生した事態の大きさとそれに立ち向かったというリアルがそんな印象を持たせたのかなと思います。
ただ、リアルな世界で抱える、国として振返りは十分なのかな?次が起こったときの対処は大丈夫なのかな?という疑問はこの先も持ち続けることになりそうですよね。
2020年2月に大事なイベントを用意していながらもキャンセルを余儀なくされたことをずっと悔しく思い続けている自分の小ささにも気付かせていただきました。
素晴らしい作品で良い内容なのに…
あらすじやストーリーは予告編などでも紹介されているので割愛。
エンドロールでも文字情報として但し書きと言う感じで表示されていたが、演出上マスクの着用・非着用だったり、多少、時系列が前後している部分はあるのと、微妙な言葉の訂正や修正などはあるだろうが、基本的には事実に基づく内容のドキュメンタリー映画。
特段の演出がある訳でも無いのに、内容は素晴らしかったのは、実際に起こっていた事に対する人々の感情や対応などを各役者が見事に演じてるからだろう。
勿体ないなぁと思うのは、色んな聞き取り調査なども必要だったのでしょうけど、コロナ蔓延時期の2021年から既に4年も経過しての公開だと言う事。出来れば2023年、遅くとも2024年に公開していればもっと話題になっていたと思う。
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