フロントラインのレビュー・感想・評価
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ドタバタだけではなくメンタル面にも言及
良質なドキュメンタリーを見ているような作品。
2020年入ってすぐダイヤモンドプリンセス号でコロナ患者が発生。
まだ日本には持ち込まれていないことから、DMATが出動。ただ、災害時の対応が専門であってウイルス対策が専門ではないため、ウイルス学の専門医からするとずさんなゾーン分け(ウイルスがある・可能性がある・クリーン)がされていないという指摘があったものの、現場対応ではそんなこともできる状態ではない。その指摘はごもっともだが、まずは現場の混乱や進捗状況でものをいうべきだな、と思った。
メンタル面の心配もあることを教えてもらった。
患者の重篤度合いで診察が順番が変わってくるのはもちろんであるが、
重症患者の同部屋の家族、中学生以下の子ども、スタッフのメンタルは元気でストレスが溜まっているいる乗客以上に大変である。
患者対応にも時間かかるが、メンタルサポート面でも時間が取られ、その場合は心理士・スピリチュアルケア師・臨床宗教師などの出番ではないかなと思いながら見ていた。
あとはマスコミの興味本位、世論が傾くといい悪い関係なくそっちになびく、という風潮。当時のニュースやらを思い返してみると、見たままのことや愛知県での受け入れのことはちょっと報道されたものの、中でどんなことになっているのかということまでは報道されなかった。リアルタイムでこのことを国民が知っていれば、コロナに対しても受け止め方が違ってきたかもしれない。まぁこれは終わったから言えること。
今思えばあれこそが「フロントライン」
ほんの5年前の出来事だけどDP号こそがコロナ禍の「フロントライン」だったな、と思う。医療従事者がどれだけ大変だったかはこうやって映画やドラマ、本などで垣間見るくらいしかできないけどホントに頭が下がる思いがする。改めて感謝したい。
一貫してブレない仙道さんがとても良かった。窪塚洋介は飄々としてるけど筋の通った役がとても良い。松坂桃李の冷静だけど熱意を秘めたシゴデキ立松さんも、乗客のために走り回る森七菜も良かった。
映画はDP号で起きていたことをだいぶ端折ってると思う。でもDMATや厚労省、神奈川県、乗員、医療機関など関係者がそれぞれの立場でそれぞれの持ちうる権限の中で最善策だと思うことを粛々と全うしていたことを知るには十分だった。動画をあげた先生も感染症の専門家としては正しい指摘をしたのだと思う。ただそれは非常事態の中で取るべき対策として適切では無かったし、動画を上げるべきタイミングでは無かったんじゃないかな。今思えば、だけど。
一見、コロナは終わったかのような雰囲気だけどウイルスがいなくなったわけではないし、この先また新しい感染症が広がる可能性もある。感染症に限らず、災害が起きたり、有事に巻き込まれるなど想定外の事態が起きるかもしれない。その時に自分ができる最善策は何かを探りながら実行したいと思うし、少なくともフロントラインで戦う人たちの足を引っ張ることはしたくないなと思うなどした映画だった。
あの日、あの時の最前線で何が起きていたのか…?
ゴースト・タウンの様に、街から人が消え、飲食店はシャッターが降ろされ、マスクを購入する為に薬局だけに長蛇の列ができた2000年・2月。新種のコロナ・ウイルスによって、その後数年に渡って、パンデミック災害を引き起こすきっかけとなった、ダイヤモンド・プリンス号でのコロナ・ウイルス感染。その船の最前線『フロント・ライン』で、見えないウイルスと、命を賭けて格闘した勇気ある者達の活動を、事実に基づいて描いた作品。
あの時の、世界はコロナによって、それまで築き上げてきた当たり前の生活が、一瞬にして崩れ去り、世界中をが息を潜め、只々、災いが通り過ぎるのを待っていた。本作は、ダイヤモンド・プリンス号に乗り込んで、命を賭けての医療活動を続けた、日本の災害派遣医療チームである『DMAT』の活動を中心に、乗客や感染者に対して、温かな励ましを続けた船の乗組員達の姿が映し出されていた。
本作は、映画として脚色した部分も確かにあり、感動を呼ぶシーンも盛り込まれてはいた。しかし、世界が初めて直面した溝尾のパンデミック災害に対してのこれからの教訓と、そこに決死の覚悟で従事した者達への感謝を示した作品であると思う。東日本大震災で起きた福島原発事故を描いた『FUKTSHIMA 』もそうであるように、本作においても、あれから何年か経ち、以前と変わらない日常が戻り、あのパンデミックを客観視できる時が来たからこそ描ける作品なのだと思う。
当時、毎日の様にダイヤモンド・プリンス号の映像が、ニュースや新聞を賑わせ、人々もその報道を丸のみにして一喜一憂する中、感染によって死んだ者とは、死に目にも会えず、感染者だけなく、医療従事者へのバッシングまでもが横行し、日本中がパニックになっていた。その最前線に立ち向かうと言うのは、どれだけの覚悟と勇気が必要なのだろう。自分がいつ感染するのかもわからない中、それでも医者として懸命な措置を施す姿に、私達は守られ、支えられて、今日の日常を取り戻したことを、決して忘れてはいけないだろう。
しかし、本作は世界中を恐怖に陥れたパンデミックの、あくまで序章に過ぎない分部だ。あの後、有名人も含めて、多くの人々が罹患し命を失い、未だに後遺症に悩む者もいると聞く。幸い、私はその後のワクチン接種のおかげで、これまでコロナ・ウイルスに罹患していないが、映画館に行くときは、未だにマスクを着用している。
出演者の『DMAT』の指揮官役の小栗旬は、自分の率いる部隊と上層部との狭間の中で苦悩する役柄を、相変わらずの安定した演技で務めていた。また、厚労省の役人役の松坂桃李は、最初こそ高飛車な役人気質から、小栗の姿を目の当たりにして、建前より命を最優先することの大切さに気づいていく、人間味が生まれる役人を演じていた。また、小栗の同僚で船内の指揮を執っていた、窪塚洋介の自然体の演技が、とても好印象に映った。
今期ダントツ1位🥇邦画の傑作
記憶の片隅から当時の記録
ふたつの言葉
『限られた選択肢の中で最良の判断をした』
そういう人たちのことを外野から批判する。
〝外野〟とは、ひと昔までは主にマスコミのことを指していたのが、今やネットにおける一般人のほうがタチが悪いケースもある。
そういう行為の浅ましさや無責任な風評により人生に関わるほどの苦しみを受ける被害者の存在については、これまでも、何度も映画や小説や報道番組などで振り返っているはずなのに、何か批判しやすい事件や事象が起きれば必ず繰り返される。
松本サリン事件もそうだったし、6/27公開の『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』もそうだ。しかも、事実誤認や歪曲による負の影響が判明した後でも、潔く謝罪する記者や編集長やディレクターなどを見たという記憶はない。もちろん、公的には組織としての判断・行為について個人で責任を負えるものでは無い。組織としての謝罪があったとしても、サンセーショナルに煽りまくった時の熱量からしたらあり得ないほど静かで密やかな形なのだと想像する。
人間なのだから、正義感や使命感が先走ってしまい、検証不十分なまま、報道してしまうこともある。それでも自らの過ちを認め、素直に謝罪することができないのなら、そもそも報道に携わるな!と言いたくもなるが、そういう善良なひとはそもそもその業界で生き残れない⁈という構造的な問題もあるのだろうか。
『周りの人の良心や善意に乗っかって自分は逃げている』
この言葉はずっしりと私の胸に刺さりました。20代の頃から今に至るまで、心当たり有りまくりです。
ただ、もしかしたら自分も誰かにとっての良心や善意となれることだってあったかもしれない、これからあるのかもしれない、そんなふうなことを心掛けながら生きていくことはできるはず!なのが多少の救いです。
ぜひ観て、そして闘っている方達を知ってほしい
最初から重いです。
観ている間、ずっと何か苦しいものを感じます。
その正体が何なのかずっと考えます。
登場人物それぞれが必死に未知のウイルスと闘って、それでもお互いを思い合って乗り越えこうとしています。
そんな彼らを阻むもの、それは船の外にいる無知で無責任な私たち。
未知のウイルスを怖がるな。とは言えない。
人それぞれ事情があるだろうから。
でもこの映画を観て、医療従事者をはじめコロナに1番近くで向き合い、闘った方達の想いを知って自分の行動を振り返って考えていだきたい。
少しでも気になっているなら、ぜひ観て欲しいと思います。
出演されている俳優さん達は、皆さん本当に素晴らしかったです。
福島の映画と一緒。多くの人に、観て、感じてほしい。
原発事故の映画を観たときと、全く同じ印象をもった。
自分が知ってたことの多くが、報道側の主観であり、
マイナス部分、主張者が好む話題性がある部分しか、伝えられなかった。
本当のことを、殆ど知らなかった。
敢えて、感動もの、英雄ものにせず、
現場に立ち会った人間の心情、信念を、できるだけ忠実に演出されてる気がした。
役者の演技、事実と映画のバランスがとれた脚本、とても良いものだと思います。
エンタメ性の観点で、物足りなさ、描きたいテーマが見えない。など
賛否があるように思えますが、ドキュメンタリー映画として、
多くの人に観てほしい。感じてほしい作品だと思いました。
個人的に、
隔離されてた、ミムラさんのセリフ。
想定外の状況に巻き込まれた、滝藤さんのセリフ。が印象的でした。
缶珈琲のシーン、素晴らしかった。
そして、小栗さん、窪塚さんのバディ感は半端ない。
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人の真価は、危機的状況において発揮される。と何かで聞いた、読んだ記憶がある。
仮に「未知の脅威、危機」と対峙するタイミングがあったして、
彼ら、彼女らのように、強い信念をもって、闘えるのだろうか。
多くの批判にさらされても、最後まで、折れずにやれるだろうか、
そんなことを考えてしまうところもあった。
そして、
批判だけではなく、しっかりと称賛できる人でありたいとも思った。
日本映画にしては稀な節度を持ったディザスタームービー
割と早い段階で泣き、結果的に15分に1回くらいは泣いてただろうか。この船内にどのくらいのドラマがあったのかあまり知らなかったものの、見ていけば確かにこれは自分たちの生きた時代に何度かあった世界的に未曾有の災いの日本におけるフロントラインで、誰がどう対処すべきかもわかもわからない中での正体不明の恐怖と戦った人々の話で自分のプロフェッショナル意識と人道的判断でどう対処したかの話。
個々の事情は皆違う中、ちょっとづつ他人を気遣えるフロントラインの人たちの大袈裟ではないほんの少しのやりとりがグッと来て泣ける。全体的にテレビドラマやテレビドラマの監督がやりがちな大袈裟なドラマ、大袈裟なクライマックスがないのがよかった。ヌルッと未曾有の只中に入り、ヌルッと日本におけるパンデミックのファーストステージが終えてゆく。終わりなき途中経過の戦士たち。それぞれが集まってまた次のステージに向かう。ワーナーということもあって、なんかイーストウッドの実録事件ものみたいな雰囲気があってとても新鮮だったな。そしてダイアモンドプリンセスの船の映像はじめドローン的な映像ルックもとてもよかった。
危機管理ものとしては今の日本映画では最上のレベルだと思う。
「俺たちがやらないで誰がやる!」「突撃!」「仲間が死んでしまいそうだ!おい、死ぬな、頑張れ」と俳優が叫び散らしているのが、概ね、今までの日本映画の災害救助ものや、医療救助もののあり方だったと思う。やかましいうえに、ヒーロー、ヒロインを押しつける感動の安売りが大嫌いでなるべくそういった映画界隈には近づかないようにしてきた。
この作品についても、そういった危険はありそうだけど、評判がとても良いので恐る恐る見てみました。結果、他の作品とは一線を画したものでとても面白かったということです。
ひょっとしたら日本映画では初めて、危機管理を題材に、きちんと最初から最後までを描ききった作品という位置づけになるかもしれない。DMATが乗船してまずぶち当たるのがいわゆるトリアージの問題。PCR陽性であっても無症状だったり軽症であったりする人よりは、陰性や未判定であっても重症者や基礎疾患がある人を優先して搬出する、という選択を彼等が採るところがきちんと描かれている。それ以降も、いろんな課題が現れそれに一つ一つ対応するところが精緻に描かれている。
日本では災害や事故といった危機に際してどのような危機管理が成されたかということについてまとまった検証をする習慣がほとんどない。結局、縦割りの組織風土が検証を妨げている。ダイアモンドプリンセス号事件でも、厚生省、県庁、市役所、検疫所、医師会、DMATなどなどさまざまな組織が事態解決に動いたためか、まとまった検証がなく、記憶は日々薄れていっている。ベースとなる資料がない中、取材を重ねて、劇映画であると言いながらこれだけの内容のものにまとめ上げた制作者たちの努力に敬意を称します。
岩田健太郎氏(映画では仮名にしていた)の動画の件、当時、自分もあれを見て船内医療活動にネガティブなイメージを持っていたけど、DMATや検疫の立場からするとこういう感じになるわけですね。もちろんエンドクレジットには彼の著作も引用されていることが示されていて双方の言い分を参照にしたものと思われるけど。
地味に感動!
誰だって怖い。逃げたくなるのは当然だけど・・
DMAT版の踊る大捜査線?
実際の話。
実話を元にした作品はあまり感想はしませんが、作品としては良かった。
……当時のマスコミや政府の行動は覚えています。TVではなぜ感染拡大が起こるのにキチンと隔離されていないのか、薬などの物資が不足しているのになぜすぐ届かない、管理が最悪、オマケに政府は正論は言うが行動は遅く責任逃れもありの文句だらけの結局現場任せ、客船の持ち主の国は丸投げだった事を覚えています。政府は兎も角、現場の方々の行動と対処はこの作品を観なければずっと悪い方としか思わなかったでしょう。
風評被害や抗議を受けながらの命がけの行動はつらかったと思います。
確かに国民や家族を守るのは大事だが静観するなら兎も角、それを言い訳として非難やハバをするのはお過度違いだし卑怯、又、話題性を作る為に情報を操作するのも良くない。
他の国でも一緒かそれ以上の事をするところもあるけど、村八分、島国根性の悪いところです。
逆に非常時臨機応変に心情と理性をシステムとして動ける集団である国民性は凄いと思った。
久々見てよかった映画に出会った
久々映画見てよかった〜って思えた。小栗さんの言葉に何度も納得した。いろいろ考えさせられた良い映画だった。とにかく私も誰かの役に立ちたいと強く思う!!
自分事として振り返り
影の支え手
もう過去のものになった感もある新型コロナの
パンデミック。思い起こすと、未知のものへの
恐怖感が国内全体、いや世界全体を覆っていました。
日本ではやはりプリンセス号が着岸した際に、
乗客が陸に上がれずその異常さが国民の関心を煽り、
より一層「怖いもの」と言う見方が始まったと
思います。しかし、その後あれだけ日本中を
コロナ禍に引きずりこむ事になるとは、まだ想像できなかった。
本作は、そんな未知の恐怖感に逃げる事なく戦い
続けたDMATを中心に、官僚、メディア、家族、
国民(マス)の関わり方が丁寧に描かれています。
映画である以上脚色はあると思いますが、でもあの時、
我々が知らない戦いが大きな船内、そして船外で
繰り広げられていたことを知ることができます。
人道的に正しいことをする、と言う一貫した信念も、
私の人生に大きな学びを与えてくれました。
メディアの放送に踊らされる事なく、冷静な判断が
できる物事の見方も、改めて大切だなぁと感じました。
良作です。
すっかり忘れていた…
2020年2月。
なんだかクルーズ船について報道されているなぁ…と思った。
感染症という言葉すら語彙の片隅でぼんやりとした認識しかなかったあの頃。
映画の終盤で医師の一人がつぶやきます。「これから日本はもっと大変なことになるよ」
そう、ダイアモンドプリンセス号の10日間には地元横浜市民ですらほとんど危機感を感じていなかったのです。続く2年間の出来事など思いもせず。
そのような状況下で未知のウィルスに対する十分な知識もないままクルーズ船内で患者の対応を努めた医師や看護師、帰宅すると一般社会からバイキン扱いされはじめた派遣医師団たちをバックアップする医師団のリーダ、寄港中のクルーズ船という特殊な状況下で医療措置の法的規制にあの手この手の対応を繰り出した厚生労働省のキャリア官僚、更には検疫官、陽性患者を受け入れた医療機関、クルーズ船のスタッフたち、マスコミ…様々な関係者たちのそれぞれの立場と利害関係を丁寧に描き出しています。
ダイアモンドプリンセス号事件を受けて、感染症に対する法整備とリスク管理対策は格段に進んだと思います。
けれど、自分を始めとした一般市民の感覚は…そしてマスコミの捉え方は…
また、新たな未知のウィルスが発生したときに
自分は「人道的に」振る舞えるか。
自信がなく、俯いて映画館を後にしたことを告白します。
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