フロントラインのレビュー・感想・評価
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とても考えさせられる作品
まず、あの騒動の時こんな事が巻き起こっていたのだと、映画化するにあたっての脚色が加わっていることを踏まえて感じた。
国の体制、メディアの報道と世間の目、最前線でこの事態に遭遇した乗客、クルー、医者、それぞれの立場の心理が分かりやすくリアルに描かれていて、とても考えさせられた。
人が意識せずとも抱いてしまう偏見や感覚レベルの心理が色んな問題に繋がってしまうこと、何が真実かなんてそこに立ち会わなければ判断できないし、実際に目に見えていても100%理解することはできないこと、本当に様々なことを考えさせられた。
この映画を見て自分の中で考えた一つひとつの気付きを忘れずに日々過ごしていきたいと思った。
自分の在り方を考えさせる
ほぼドキュメンタリー、涙、涙でした。
当時無責任に外から叩かれていた、クルーズ船の中の人たちの視点で描かれた、闘いと反論の物語。
当時の異常に緊迫した状況と、情報がなく報道に踊らされていたことを思い出す。船内で何が起こってるのか分からず、なぜ批判されてるのに反論しないのだろうとすら思っていた気がする。面白がってるメディアに反論なんてしてる暇ない、自分たちの仕事は命を救うこと。そんなギリギリの攻防であった内情を5年経ってようやく知る。そして、信念を持って闘っている人たちを見て、自分を省みる。自分だったら何ができたか?どう生きるべきなのか?これは、他人事にせず、一人ひとりが自分に当てはめて噛み締めるべきストーリーだと思う。理解が得られるかはともかく、全世界に見てほしい。。
人の作ったルールに縛られてないか?
自分が正しいと思うことが何か考え抜いているか?
正しいと思うことを、ルールを破り周りからバッシングされてでも貫けるのか?
人に責任を押し付けてないか?
命以上に大切なものはない、医療の現場では分かりやすい共通目標がある。ビジネスや人間関係にはそういった、たった一つの真実、優先順位はない、から余計にややこしい。皆違う価値観があって当たり前。そんな中で自分は何を考えるのか。
実際はもっと悩み、逡巡があったのかもしれない。でも危機的状況で、あのように臨機応変に動けるか?嘘をついてまで目的を完遂できるか?と考えると自分の芯のなさに恥ずかしくなる。
遠い異国の地で身内が感染し、最期を看取ることができないかもしれない不安。それで自殺までしようとした人にどう歩み寄るのか?感染が怖くなった医療従事者も責められない、けどそれが医療の本質、できないなら医療から離れた方が良いという結城医師の言葉もきっと真実。感染症の経験があまりない日本でそこまで覚悟を持っていた人たちはどれだけいたのか。それを乗り越えたすべての人たちに感服。
ルールと現場で闘う政府、検疫、専門家。
世間の評判や差別と闘う医師、受入施設、扇動するメディア。
映画なのではじめは分かりやすくみんな自分の都合で動く嫌味な人たち、から互いに目標を共有して歩み寄る方に変わっていく。松坂桃李の最初の態度はちょっとやりすぎな気も。。?でもあれが官僚っぽさなのかな?吹越さんと光石さんだけは最後まで悪役風味。
参考になったであろう特定人物の許可を得ていないらしい、とSNSではまた外野が盛り上がっている。ネットが悪い感情のはけ口となっているのは何も変わらない。もっと人に優しくあろう。。と皆が思うにはどうしたらよいのだろう。
余談: コロナ禍題材でいつも気になるマスクしてない問題で、初めて最後に「実際はずっと着用してました」とお断りがあって、スッキリした。映画だから俳優だからと分かっていながらその一言で気が済むんだなと我ながら不思議。
あと窪塚洋介良かった!池松くんも!
忘れてはいけない事
日々頑張っている医療従事者の方々に敬意を。
超高齢化社会と言われる昨今。医療は、どんどん求められるものであると同時に、医療従事者の方々の負担は増えていく一方。
そんな中、日々、患者さんのために尽力してくださっている医療従事者の方々には頭が下がります...
本作は、新型コロナウイルス対策がまだ確立されていない、未知のウイルスとして扱われていた頃、ダイヤモンド・プリンセスが舞台。
大地から隔離され、身動きのとれない海の上。感染は広がっていく。
そんなみんな不安な状態の中、立ち上がったのは、感染に対して専門知識を何ももっていない医師たちの医療チーム"DMAT"、『一人でも多くの患者を救う』医療における真髄とも言われる考え方を持った方々。船のクルー。受け入れ先の医療従事者の方々。
自分たちも怖いはずなのに、『他人のために、人のために』という善意が多くの命を救いました。
医療従事者の方々も、人です。コロナ差別、風評被害、怖いことがたくさんあったかもしれません。
そんな状況で、色々考えるより、やはり、人を動かすのは、『思いやり』かもしれません。
今、生きていることが尊いものであると、そう思わせてくれる作品だと思います。
人道的に正しいことか そうでないのかを判断すること
ダイヤモンドプリンセス号と聞いて、その名前を覚えている日本人は少なくないだろう、と思っている。
中国武漢で確認された、未知のウイルス。おもに呼吸器疾患を引き起こし当初は致死率も高く、世界をパンデミックのカオスに落とし込んだcovid-19。新型コロナウイルス。
2020年2月、ウイルス陽性患者を乗せた豪華クルーズ船が、横浜港に入港。その後船内で次々にクラスターが発生。およそひと月、船内で未知のウイルスに罹患、陽性発症した人々に対峙対応した神奈川DMATの医師や看護師、厚労省官僚の人々や客船のクルースタッフら、船内で何が起き、彼ら彼女達がどのように行動対応したかを中心に、事実に基づいて描かれた物語。
作品ではマスメディアの報道姿勢も並行して描かれる。
プロデューサー、脚本の増本淳は綿密な取材記録を行い、現場の状況を克明に再現している。
発生当初の混乱、次々に症状を悪化させていく陽性患者の人々、日本人だけでなく様々な国籍の人への処置の説明、
船外への救急搬送受け入れ困難…。
現場で発生する事象と、外縁社会との大きな乖離。
SNS社会、マスメディアの報道姿勢、現場を認識できていない社会からの対応への批判的言動。船内活動する人々、客船クルーの優しさ溢れる対応もしっかりと描かれ、また、看護師らへの差別…なども抑制の効いた演出で見せる。監督関根光才の手腕が光る。
改めて自分は何も知らなかったのだ、と突きつけられる描写の数々…。
当時の報道、ネットに溢れる刃のような言葉の嵐…。全てがそうであったとは思わない。が、TVスタジオという安全地帯からの無責任な言動など。それらに影響される私たち…。
キャスト陣も名優揃い。DMAT責任者演じる小栗旬。苦悩と葛藤の中、責任者として冷静な判断をくだす役どころを、抑えの効いた演技で魅せる。窪塚洋介、池松壮亮、彼らは演じている、ということを感じさせない、といつも思う。
厚労省官僚を演じる松坂桃李。冷たい官僚的態度と、的確な仕事ぶりを骨格の頑健さをもち演じていて好感。
桜井ユキ。メディア報道記者の姿勢を、最後には疑問に感じていく気持ちのゆれを好演。
客船クルー演じる森七菜、懸命さがこちらに伝わってくる。
脇を固めるキャスト陣も手堅い仕事をしている。
DMAT責任者演じる小栗旬のセリフが刻まれる。
目の前で起こっていることに対して、
人道的に正しいことか、そうでないのかを判断して対処するだけです、と。
自分に置き換えて考えてみる…。
人道的に正しいか、そうでないかの判断、選択をして生きているだろうか?と。
今作では、福島原発事故の際に発生した、高齢患者移送の悲劇が挟み込まれて描かれてもいる。そこで何が起こったか…。
目の前の命を救う、人道的に正しい行動…
深く考察を促す。
あの日々、あの時自分は何を感じていたか、その後のコロナ禍と言われる数年をどう生きてきたか。
今も新型コロナウイルスは変異を重ね、生き続けている。
コロナ禍は終わっているとは、私は思わない。
困難な事態を目の前に、本当の勇気、使命感を持って対峙した人々がおり、今も活動を続けている。
この映画で描かれたことが、全てではないにせよ
社会性と商業性を両立させた秀作。
多くの人に観ていただきたい作品です。
歴史の映画
どうしてみんな⭐️多いの?
医療従事者の想いを伝える
コロナの発端となったダイヤモンドプリンセス号の船内がどれほどの混乱と緊迫感の中にあったか、そして,そこで自分の不安と闘いながら乗客のために働く医療従事者の想いがとてもよく表現されていた。それが,ボランティアで組織されるDMATという人たちだということも、恥ずかしながら私は知らなかった。
未曾有の感染症災害の始まりに人々がどんなふうに捉えて,マスコミに踊らされ差別や偏見の愚かな行動にでたか、悲しいほどによくわかった。
言い訳せずにひたすら命を救うために動く医療従事者の方に頭が下がる。皆がこのことを知ることで、次に同じようなことがあった時,自分で判断して動けるようになりたいものだ。
最後に下船したというこの船の船長の思いがわからなかったこと。最後のテロップで、この後厚労省が実施した対策が紹介されなかったことは、少し残念だった。
観終えてからも拭えぬモヤモヤ
我が国にとっては、あのコロナ禍の幕開けとなったダイアモンドプリンセス号でのクラスター発生時に医師・看護師・船内クルーがどの様に奮闘していたのかを描いた物語です。あの時、文字通り命懸けで前線で治療に当たった方々には本当に感謝しかなく、そこは誠実にしっかり描かれていました。でも、観終えてからも何だかモヤモヤが拭えないのです。
「不完全だったかも知れないが、出来る限りの事を遣り切ったんだ」
で終わって良いのかなの思いがずっと後を引きます。しっかり描いて残しておくべき機能不全の組織や政治が、あの大混乱の背後にはあったのではないでしょうか。もう一度同じ事が起きた時、マスコミも国民も政治も賢く誠実に対処できるのでしょうか。その反省は本作に描かれていたのでしょうか。
過去に残すべき価値ある映画
今観る価値がある
既にはるか昔のことのように感じる新型コロナ禍は考えてみればまだ5年前のこと。日本国内の最初の大騒動ともいえるダイアモンド・プリンセスでは何が起きていたのか? 当時の対応を今振り返るとどう感じるのか? 興味が湧いた。
【物語】
2020年2月、多数の乗客に新型コロナウイルスの症状が発生した豪華客船が横浜港に入港する。 DMATと呼ばれる災害派遣医療チームを統括する結城英晴(小栗旬)は県庁に呼び出され、急遽立ち上げられた対策本部で指揮を執る厚生労働省の立松信貴(松坂桃李)にDAMTの出動を要請される。
DMATは感染症対応は想定されておらず、教育・訓練もされていない、ましてや未知のウイルスに対応には確信を持てるわけもなく、受託を躊躇する結城だったが、悩んだ末に要請を受ける。
結城の指揮の下、DMATの隊員たちは当初は船外での医療という約束だったが、感染の拡大により、乗船して未知のウイルスに立ち向かうが、状況は悪化の一途を辿る。
【感想】
この時の対応は適切だったか?
乗客・乗員・医療関係者、さらには本人や家族が感染したか否か、重症化したか否か、置かれた立場によって今も様々な意見や思いがあるだろう。しかし、本作の主人公であるDMATのメンバーは、近づくことを避けることもできる状況下で、果敢に未知のウイルスが蔓延する現場に身を投じ、不安や恐怖に屈せず患者を救おうとした行為は間違いなく称賛に値する。 が、当時乗船して治療に当たったメンバーは称賛されるどころか、本人ばかりか家族までがばいきん扱いされたのだという。
今、平穏な状況下では「なんてひどい」と思うのだけど、世間全体が得体の知れないウイルスに不安を抱き、過敏になっていた状況では仕方なかった面もある。 だからこそ、そんな恐怖の最前線に留まった彼らには頭が下がる思いだった。 DMATだけでなく、その後命の危険を感じながらも人命救助尽力した医療関係者も同様だが、最もシンボリックな舞台で奮闘した彼らを描いた本作は意味があると感じた。
何はともあれ、自分だけでなく、家族の犠牲も厭わず、現場に立った人達はとにかく凄いと思う。ボランティア精神が乏しい俺からすると、絶対できない神の行い。 DMATは元々有事の災害派遣チームということで、一般人よりはるかにボランティア精神の高い人々の集まりのはずで、そういう意味では感染症専門家でなくても、あの状況で乗船を要請する相手としては正解だったのだと思う。
そんな当時の知られざる最前線の様子に大いに感じることが多かった。役者についての感想に触れると、実力者揃いのキャスティングでそれぞれ良かったが、中でも光っていたのは窪塚洋介。元々ずば抜けた演技力の持ち主だが、修羅場の現場に身を置いて、多少苛立ちながらも、肝の据わった頼もしい現場統括が凄くカッコ良かった。船外で指揮を執る結城と時に口論をしながらも二人の間の築かれている固い信頼関係も十二分に伝わって来た。
松坂桃李はドラマ“三上先生”での文部省役人の次は厚労省役人。この二役のイメージはやや被るのだが、それでも役人らしさは出ていて良かった。
希少な女性キャスト、森七菜もあまり出番は多くないが、強く印象に残ったのは英語のセリフ。国際客船のクルーで英語が話せて当たり前の役だったが、英語が上手くてビックリした。与えられたセリフだけ一生懸命練習したのかもしれないが、完璧でした!
ところで、本作鑑賞を機に最近のコロナ感染状況ってどうなっているのだろう?とネット検索してみた。結果、驚いたことにこの大騒ぎしていた2020年緊急事態宣言当時の感染数より、ニュースから忘れ去られた現在の感染者数の方が数倍から10倍多い!(数千人)。
それでも、ニュースにならないということは重症者や死亡者はきっと少ないのだろう。一時は日本も地獄化するのか? と不安になったものだが、医学的対処方法が数年で確立されたということなのだと思う。実は今年の正月に90歳前後の義父母が新型コロナに感染。2020年ごろは感染したら間違いなく死ぬだろうと気を使ったものだが、多少の熱は出たものの重症化もせずにあっさり回復した。それを見ても対応が確立されたことが分かる。人間の力も大したものだ。
時間が経って、当時の不安や焦りを忘れてしまうと本作もピンと来なくなりそうなので、誰もが当時の状況や気持ちを記憶している、今見ておくべき作品だと思う。
モノたりない
それぞれが信じるもののため、最前線で献身的に闘ってくれた方々に只々感謝。 過剰な演出に流されない、事実と感動の物語の絶妙なバランスが素晴らしい。
あれから5年。
各方面に様々な問題があるだろうということが、容易に想像できるデリケートな題材の映画を、このスピード感で製作・公開されたことに驚かされます。
製作・配給が旧来のメジャー日本映画会社系ではないということに、個人的には納得がいきます。
あの船内と周辺で実際に起きていたこと。
ドキュメンタリーよりも確実に多くの人々の心に訴えかけることができる。
過剰な演出に流されずに、様々な事実を伝えながらも、映画としての感動の物語を紡いでいく絶妙なバランスが素晴らしい。
俳優陣もまたプロが集い皆素晴らしいのですが、自分としては、最初は官僚的なイメージで事務的でクールな感じを見せつつ、仕事のプロとして対応しながら、心の内では人のために尽くすという姿勢を演じる松坂桃李が特に印象的です。
改めて、それぞれが信じるもののために、最前線で献身的に闘ってくれた方々に、只々感謝します。
あの時の真実
改めてコロナという未知のウイルスの恐怖を感じながらも、従事した医療...
厚労省の宣伝映画
厚労省、藤田保険大学にはいい宣伝になった映画ですね。なんか裏でもあるんですかね?
神戸大学の岩田健太郎教授がモデルの人物は完全に悪役でしたのがわらえた。
あの時の岩田教授の批判は自民党の政治家と官僚であってDMATの批判はなかったように記憶してます。またゾーン分離の概念を広く知らしめたのは、あの時の岩田教授のゲリラ的行動だったと思う。それゆえに政治家、官僚は煮湯を飲まされたのだから憎いのだろう。
まあイケメン人気俳優である松坂桃李が厚労省官僚にキャスティングされた時点で、商業映画としては官僚をヒーローにするのは当然でしょうが。
全体に盛り上がりに欠ける感がありましたが、主役の4人の魅力は十分に感じられました。窪塚さんはこれを機にまた主演俳優として活躍して欲しいと思いました。
ドキュメントの様でそうではない秀作
まずお伝えしたいのは、とんでもなく素晴らしい映画でした。
無駄なアクションや誇張、笑いを取り込まず、実話を真摯に映画化された秀作と、私は思いました。
面白くは無い。エンターテイメントとしては。
ましてや面白く観るものでもないし、そう見せなかった製作陣に称賛を贈りたい。
にもかかわらず、ここまで夢中に、真剣に映画館で鑑賞できた作品は、久々でした。
経験として、ノンフィクションや社会派フィクションなどの映画は、今まで「必ず」眠気に襲われたり、集中力を失う隙間が有りました。
そもそもエンタメとして見せるより、事実を伝えたい意向が、当たり前のように強いためか、エンタメとしては盛り上がりに欠け、どうしても「ダレる」時間が有るんだと思う。
逆に、鑑賞者の満足度(エンタメとしての)を考慮してくださっているノンフィクションや社会派フィクションは、よくも悪くも現実的ではないアクションや美談や悲話が目立ち、ノンフィクションから逸脱してしまう。
しかし、それはそれで映画としては面白く、否定する気も無い。むしろ面白く見れる。
本作を秀作と思えたのは、アクションや誇張し過ぎた美談や悲話が少なく、「音」や「音楽」を利用した演出による盛り上げもほぼ無い映画だったので経験上、必ず何処かで「ダレる」はずが、最後まで物語にのめり込めたためです。
客船内の人々の物語と客船外の人々の物語、
①当事者の辛い思いや苛立ち、未知のウィルス故に、非情な対応をするしかない非当事者。
②正義とかではない、小栗旬さん演じる結城さんも劇中で言っていたように人道的に、するべき事をやり続ける人々。
③また、厚労相やDMATによる乗客や感染者への対応に反感を露にしていた人間も、最終的には人道的な行いを許容してくれている事。
……などなど劇中の全ての出来事が、そつなく満足に鑑賞できました。
それは、新型コロナウイルスの驚異を肌で知っているためかもしれないが、それでもこんなにも盛り上がりに欠ける映像化に、ここまで満足させられたのは、初めてかもしれない。
個人的には、指折りの素晴らしい映画でした。
名作。善意vs悪意の構図だが、刺激を求める人には物足りなそう。
医療モノではあるが、既知の極みとも言えるコロナに対して、国内の感染対処初期の状況をテーマとしたドラマは、有りそうで然程無かったように思う。
病気に翻弄されるだけではなく、患者や関係機関ひいては社会にまで翻弄されつつも、真摯な善意で臨んだ人達の覚悟が眩しくて心を打つ。
ヒーロー(名医)とヴィラン(巨悪)の闘いも悪くはないが、今作のように、普通に生活を持つ人達による真摯な善意には「頑張れ!」と心から言いたくなるし、安全な位置からの気楽な悪意には心底ウンザリする上に現実でそこそこ目の当たりにする構図のため、とても感慨深く、心を揺さぶられました。
※悪意と言っても、面白半分や保身といった俗っぽさの類。
映画としてギュッと詰まった構成や、ちゃんとモヤモヤウルウルハラハラさせてくれるストーリーラインも良かったのですが、何より演者さんの演技が素晴らしかったです。
印象に刻まれる怪演のような演技合戦では無く、リアリティに落とし込んだ自然な演技が多く、メリハリの利いた緻密な表現が込められた演技も随所に見られ、映画好きには堪らないポイントに感じました。
当時の関係者へのリスペクトが根底のテーマにあり、事実に基づく作品だからこその構造上の欠点もありますが、そこも含めて愛らしい。
ただ、スポットライトが当たる人達はほぼ性善なので、悪意も孕んだジレンマみたいな人間臭さが見たい人にはオススメできないです。
興行的には失敗しそうと私的に気取っていますが、、観れたことを感謝したくなる名作。イチ推しです。
全682件中、381~400件目を表示









