「窪塚さんと池松さんに味つけされた真面目でドキュメンタリーな作品」フロントライン saiko *さんの映画レビュー(感想・評価)
窪塚さんと池松さんに味つけされた真面目でドキュメンタリーな作品
評判が良いので鑑賞。
当時のダイアモンドプリンセス号のニュースを思い起こしつつ、全く想像もしなかった当時の状況を知った。
このような緊急事態の矢面に立ち、リスクを背負い、即断即行動すること、自分だったらできるのか。医療従事者に対しては心からの感謝しかない。
当時は、恐ろしい未知のウイルスで治療法もワクチンもなく、医療現場も整っていない環境だった。
そのような緊急事態に、有志の医療関係者に「依存」するしかない現状。
結城医師をはじめ、医療従事者は心を正常に保つために「人命を最優先」として「人道的な正しさ」を柱として自分を保つしかなかった。
自己や家族を犠牲にしているのに、批判されなければならない悔しさや憤り。
それでも自分達が最前線に立たなければ、立ち行かない苦悩。
ここを中心に現場の医療従事者を善として、医療従事者の視点からやや淡白に画かれている。
一方で、陽性の可能性がある者と自分の子供が接触するのを避けたいと思うのは至極当然。
自分と自分の身近な者を守ることが最優先されるのは、人間にとっては本能なのだから、それが脅かされることは悪になる。
そこをマスコミがあおって、現場との対立構造にして善を引き立てている。
本作品は
スター性のある小栗旬を起用しているのに反し、エンタメ要素を少なくして事実を伝えようとしている感じがする。
様々な立場の感情に配慮してか、ドキュメンタリー風に、感情の起伏を押さえているのがこの作品の良いところ。
窪塚扮する医師の強い覚悟と、池松扮するの医者の芯の強さが本作を際立たせていて、作品に味がついている。
感動して涙が止まらない作りにはしていない。
エンタメ的ヒューマンドラマを期待されている方には向かないかも。
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