「名もなき英雄たち」フロントライン Noriさんの映画レビュー(感想・評価)
名もなき英雄たち
2020年2月、皆このニュースに釘付けだった。SARS の流行はさほど影響のなかった日本、ここにきてどえらいものが襲来したな、と思ったものだ。その当時、断片的にしか把握していなかった状況が、今回フィクションとして我々の前に姿を現す。
いや、どんな困難な場面に遭遇しても、我々に出来ることは日々積み重ねてきたこと、当たり前のことを当たり前のようにやる。これに尽きるし、それ以上のこと、英雄的なことを、個々人が行える訳じゃないんだよな。目の前の困難・課題に対して、持てる力を注力して、ベストと思われる最善手を選択していく。その積み重ねが、日々物事を前進させていく。それしかないし、できないよな。
それぞれのプロフェッショナルが、それぞれの持ち場で、その日その時の最善を互いに尽くしていくこと。その集積が我々の日常を支えているんだな。他者と比べるでなく、私自身が何を成しうるのか、何で貢献していくのか・貢献できるのか。そんなことを考えさせられた。自身の人生や職業感について、改めて見つめ直すきっかけとなる作品だった。
(25.06.26追記)
吹越さん演じる六合。モデルとなった岩田健太郎氏の動画は当時リアルタイムでみた。言っていることは理にかなっているのでは?と当時感じたのは覚えている。但し、本作でも指摘されているように、人間は理だけで動くようにプログラムされていない。人を動かす、自ら動きたくなるプロセスを踏むこと、他者から信頼される自分であること。自分自身がそうであるだろうか?ということも点検していきたいもの。一朝一夕には自身に落とし込めないから。これもやはり自身の歩んできた道、歩んでいく道がモノを言うのだろう。