劇場公開日 2025年6月13日

「名作。善意vs悪意の構図だが、刺激を求める人には物足りなそう。」フロントライン fujikeさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0名作。善意vs悪意の構図だが、刺激を求める人には物足りなそう。

2025年6月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

医療モノではあるが、既知の極みとも言えるコロナに対して、国内の感染対処初期の状況をテーマとしたドラマは、有りそうで然程無かったように思う。
病気に翻弄されるだけではなく、患者や関係機関ひいては社会にまで翻弄されつつも、真摯な善意で臨んだ人達の覚悟が眩しくて心を打つ。

ヒーロー(名医)とヴィラン(巨悪)の闘いも悪くはないが、今作のように、普通に生活を持つ人達による真摯な善意には「頑張れ!」と心から言いたくなるし、安全な位置からの気楽な悪意には心底ウンザリする上に現実でそこそこ目の当たりにする構図のため、とても感慨深く、心を揺さぶられました。
※悪意と言っても、面白半分や保身といった俗っぽさの類。

映画としてギュッと詰まった構成や、ちゃんとモヤモヤウルウルハラハラさせてくれるストーリーラインも良かったのですが、何より演者さんの演技が素晴らしかったです。
印象に刻まれる怪演のような演技合戦では無く、リアリティに落とし込んだ自然な演技が多く、メリハリの利いた緻密な表現が込められた演技も随所に見られ、映画好きには堪らないポイントに感じました。

当時の関係者へのリスペクトが根底のテーマにあり、事実に基づく作品だからこその構造上の欠点もありますが、そこも含めて愛らしい。
ただ、スポットライトが当たる人達はほぼ性善なので、悪意も孕んだジレンマみたいな人間臭さが見たい人にはオススメできないです。

興行的には失敗しそうと私的に気取っていますが、、観れたことを感謝したくなる名作。イチ推しです。

fujike
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