「日本のいちばん長い〈日々〉」フロントライン 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
日本のいちばん長い〈日々〉
日本のいちばん長い〈日々〉、
仁義〈ある〉戦いの記録だった。
派手な演出や感情的な煽りを排し、
ただひたすらにDMAT(災害派遣医療チーム)と
関係者の真摯な活動を描き出した作品だ。
キャストの芝居は、まさに圧巻の一言。
彼らはセリフ以上に、繊細な表情や眼差し、
わずかな仕草から登場人物(実在の人物)の内面をあぶり出す。
その微細な表現を丁寧に拾い上げる演出も、
観客にDMAT隊員と関係者たちの葛藤、使命感、
憲法よりも人、ルールよりも人間、
それを自らの〈命を使いながら〉その使命を果たしていく姿を描いていく。
情報過多で、とかく声の大きい意見が注目されがちな現代において、
静かに、確実に人々のために尽くすことの尊さを再認識させてくれる点も強調される。
華やかなスポットライトを浴びることはなくとも、
その揺るぎない信念と行動が、
どれほど社会を支え、
人々に希望をもたらしているか、
DMATの静かで崇高な気持ち、活動を、
観客の心に深く刻み込む作品だ。
観終わった後に、
未見の人たちを誘いたくなる衝動に駆られるほど、
私たちの心を豊かにしてくれるだろう。
これは、現代社会を生きる私たちすべてが、
目の前にさらされていた、
いや、
現在進行形で直面している、
ひと、こころ、いのちの形を、
知らないふりにさせない作品だ。
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