「決断の難しさとそれを乗り越える強さ」フロントライン まっちゃまるさんの映画レビュー(感想・評価)
決断の難しさとそれを乗り越える強さ
このポスター写真を見たら劇場に行かないわけにはいかない。この4人の共演は見逃せない!そしてその期待は裏切られなかった。
ついこの間の事のように覚えているこの出来事、最初のニュースを見た頃、自分は2週間のヨーロッパ出張に出た。あちらでもこのクルーズ船のニュースは連日報道されていて、「あんなに大勢の人が、何故まだ下船できずにいるの?」などとあちらの人に聞かれたりした。コロナの足音か近付いていたが、まだ少し遠かった頃。
この出来事がこんなに早く映画化されたことに驚いたが、殆どの人がまだ覚えている今公開された事に意義があると感じる。空気感や、その先に起こることが一瞬で思い起こされ、また当時どんなふうにこの出来事を見ていたか思い巡らしながら、スクリーンを見ることになる。規則やルールはもちろん大切だが、人道優先、命優先、災害現場の医療従事者はその思いで働いている、頭が下がります。
美化されている部分があるのかどうかは分からないが、少なくとも未知のウイルスの集団感染に突然対応しなければならなかった人達の、命懸けの決意と行動、取り巻く環境、私達はそれを遠くから観ているしか無かった現実を、スクリーンを眺める観客として追体験しているような感覚。難しい決断をせまられながら悩む時間も無く、その時の最善を選びながらとにかく進んでいく、それぞれ違う立場に置かれた人達の熱がしっかりと描かれている。この作品にすら、見た人の感想は様々違うでしょう、それがいつもこの世界の現実。それでもこの作品の公開意義はとても大きく、拍手を送りたい。