「コンサートシーンは木戸銭払う価値あり!」パリピ孔明 THE MOVIE 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
コンサートシーンは木戸銭払う価値あり!
吉川英治の小説版「三国志」にはじまり、横山光輝の漫画版「三国志」、そして光栄のゲーム版「三國志」という”三国志三種の神器”で育った私としては、「三国志」関連のドラマや映画には以前から注目していました。ただ最近では「新解釈・三國志」でズッコケてしまった反動か、本作のドラマシリーズも、存在こそ知っていたものの、これまで敬遠していました。ただ今回映画化されるというので、奮起してNetflixにでテレビシリーズを超特急で観てから本作の鑑賞に臨みました。
内容的には、テレビシリーズの続きであり、テレビシリーズで一度は対立していた登場人物たちが、概ね孔明(向井理)・月見英子(上白石萌歌)側について”真の敵”=”司馬懿の末裔・司馬潤(神尾楓珠)”と闘うという筋立てでした。前半は伏線を張るターンで、後半は大手レーベル合同のコンサートという体を採りつつ、実在のミュージシャンを多数実名で登場させて歌わせる中、最終的に伏線を回収するターンという構成で、枠組み自体は(ありがちではあるものの)許容の範囲内でした。特に後半のコンサートシーンは圧巻で、本物のミュージシャンたちが歌にダンスに大活躍。この部分だけでも木戸銭を払う価値があったと感じました。
ただ伏線の仕掛けそのものがかなり強引というかご都合主義の極みであり、コメディだからいいじゃんと言って許容できる範囲をだいぶん超えていたんではないかなというのが私の感想でした。さらに、突然の雷で停電したコンサート会場を、孔明が復旧させる下りは、科学を超越し過ぎていて、最早言葉を失いました。まあそもそもが三国時代から孔明が転生するという話なので、いちいち文句を言っても始まらないのですが、やり過ぎは頂けないと思ったところです。
また、最近の映画でしばしば見掛けるものですが、ファミマとかUberとかbibigoと言った企業宣伝とのコラボも、個人的にあまり好きではないので、ちょっと鼻白んでしまいました。
最後に出演者ですが、個人的にテレビシリーズを完遂し、映画版も観る気にさせてくれたのは、何と言っても森山未來の存在。三国志マニアのクラブオーナー・小林として、ギンギラギンの派手派手な衣装で三国志ネタをぶち込んでくるギャップが面白すぎました。「ほかげ」とか「大いなる不在」で見せた超シリアスな役柄から、本作で見せるコメディ系まで、何でも高水準の演技をする森山未來は、天才と呼ぶに相応しい役者だと改めて感じました。
また、上白石萌歌の歌も非常に上手で、このキャスティングも大正解だったと思います。
そんな訳で、本作の評価は★3.4とします。
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