かくかくしかじかのレビュー・感想・評価
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あのマンガは!
原作ファンです。
永野芽郁が読んでるマンガが、松苗あけみせんせーだ!(純情クレイジーフルーツ?)とか、あのカバーは吉野朔実せんせーだって判るくらいには同世代なので、あの時代のスパルタな指導にもあまり拒否感はありません。
面白かったです。主演二人が醸しだす空気感が最高でした。大泉洋はもちろん、永野芽郁もコメディとシリアスを自由に行き来していて素晴らしかったです。
そのコメディ演出なのですが、ちょっとやり過ぎかなぁとは思いました。監督が『地獄の花園』を撮った人なので覚悟はしてたんですけどね。おそらく監督はああいうコミカルな演出や「PVですか?」って感じの演出が好き(もしくはそれを求められていた?)なんでしょう。
この二人ならば過度な演出をしなくても面白み、可笑しさを滲ませてくれたと思うので、もっと役者を信じてシリアス寄りの演出で見てみたかったです。
正確なセリフは忘れましたが、モノローグで、亡くなったせんせーに「ひどい生徒だったね」と語りかける永野芽郁の声のトーンにやられました。心を掴まれますよね。
かくかくしかじか
原作無視?
テレビドラマ等で原作の尊重が騒がれていた時期を含んで企画・製作されたであろう東村アキコの自伝的映画。
ご本人及び個人プロダクションが製作の中核に加わるなど、これ以上ない体制で作られており、原作無視など存在しない世界です。
だからでしょうか、方言のイントネーション含め宮崎の空気感が存分に詰め込まれており、この作品への意気込み、拘りが半端ない。
風景等で時代考証?的に気になる部分もなくはない(大淀川を渡る電車の世代や宮崎に帰る際の航空会社など)ですが、それは瑣末な話ですね。
映画としてこの作品の一番の魅力は、なんと言ってももどかしくも温かい人間関係の描写。
普通ならそこで縁が切れそうな展開や言葉の応酬があっても、次のシーンでは師弟関係が維持されているあたり、人間関係は良い意味でもままならないものだというリアリティを感じました。
これは絆とか縁とか言うよりも、それでも相手を思う意思みたいなものなのかもしれません。
中だるみもなく、ラストまでのペース配分も本当に良かったです。
映画を通し、宮崎という土地とそこに暮らす人達がいたからこそ、この絵画教室も東村アキコという漫画家も成り立ったのだなと思いました。
特に父・健一が健一すぎて…。説明なく常に甘いものを食べてるあたり、細かいなあと思いました。
昔、NHKが金沢制作で彼女が自身の半生を語るインタビュー番組を流していたのを見たことがありますが、これを見ると宮崎制作のほうが明らかに相応しい、見てみたかったなと改めて思った次第です。
観るつもりなかったのに…素敵な作品
あざとい
可能であれば週に1度は映画館に足を運びたいと思っている。
だが、今日は本当に困って究極の消去法で本作を選択。
あの騒動がなければタイミングが合えばくらいには思っていたが、
完全に選択肢からは消えてしまっていた。
端的に言えば、ヒロインが彼女云々に関係なく何度も吐息が漏れた。
きっと最終的にはこういう流れで泣かせようとするんだろうなと読めているので、
そこに持って行くまでにいかに師弟の絆が構築されていったかが重要なのに
それが全く感じられなかった。
底意地の悪い見方をすれば、恩師を利用して泣かせようとしたともとれる。
それは余りに穿った考えすぎるだろうか。
そうだとすれば、かのヒロインにぴったりのキャスティングだったと言えるかもしれない。
もしかしたら原作は違うのかもしれないが、読む気にすらなれない。
それにしても、斉藤由貴の扱いって一体・・・。
撮られたのはかなり前なのだろうが、
ヒロインの未来を暗示しているようにみえたのはわたしだけか?
真っ直ぐな先生
面白い!
数々のデッサン画がアンカー(錨)のように効いている
実話が持つ説得力を、
端的にビジュアルの力で観客に直接訴えかける技術の高さが際立っていた。
単なる実話の再現に留まらず、
その核となるリアリティを巧みに「調律」することで、
感情の過剰な揺れ動きさえも不思議と安定させていた。
本作におけるその「調律」の基準点として機能していたのは、
かなりの数の【デッサン画】だ。
それはまるで、
クラシックコンサートにおいてコンサートマスターが、
演奏前に出す、基準音、「ラ」の音、440ヘルツ前後のプワ~って音、
すなわち全ての楽器が調和するための絶対的な基準音のように、
作品全体の「クオリティのライン」を決定づけているかのようだった。
映画の中で繰り返し登場する、
あの息をのむ、といっても過言でないデッサン画の数々が、
物語の真実味を担保するアンカー(錨)として、
機能していたのではないだろうか。
先生の「かけかけかけ」という叫びにも似た呪文、
あるいはパワハラ指導シーン、
コミカルな場面など、
演出のトーンが、
過剰になりかねない要素が、
このデッサンという基準点によって見事に調和していた。
映画全体が、
そのリアリティラインに沿って丁寧に調律されていたからこそ、
観客は感情の波に乗りながらも、
決して物語の核心から逸れることなく、
没入できる構造になっている。
そして、この「調律」の巧みさは、
端的な視覚的要素として衣装やロケーションにも如実に表れている。
物語の後半、
それまでカラフルな暖色系だった主人公のジャージが、
鮮やかな青へと変化していく様は、
単なる衣装替え以上の意味を持っていた。
それは、先生の純粋な心に呼応する主人公、
広がる青い空とが見事にシンクロするかのようで、
観客個々の日常に仕事に勉強に部活に、
それぞれの心に静かに、
確実に響く効果を生み出している。
もちろん、
セリフに頼らずとも感情を伝える主人公の「黒眼芝居」の技術の高さは、もはや語るまでもないだろう。
【蛇足】
あのデッサン画のような美術装飾品は、
通常の映画の現場だと、
美術部または装飾部が準備する。
しかし、
美術デザイナーはその技術があっても、
セット図面、ロケセットデザイン、予算作成などが、
優先される。
装飾部は撮影前の飾り込み、
撮影後の撤収、プロップ、小道具の準備で、
手が回らない。
あのクオリティの素描となると、
かなりの技術を持った専門家に、
発注する事になるケースが多いが、
シーン毎のニュアンス、
完成段階を伝えるのが難しい・・・
何より、あの物量!
それこそ、「かけかけかけ」「期限期限期限」等々、
専門チーム結成&管理が必要な質と量だ。
衣装も昨今の下北界隈でさえ、
あのようなジャージは揃わないだろう、
という風に、
本作は現場の裏側でも、
様々な人が、スタッフが、
関係者が、かなりの熱量を持って動いているのが伝わってくる、
濃密さがダイレクトに観客に伝導する仕組みの作品だ。
映画に罪はない。
とにかく続けること。その難しさを痛いくらい感じる。
かーけー!
主演の方のどうのこうの抜きに見てほしい作品
公開直前で永野芽郁さんの件がありあまりいい形でない感じで注目された本作ですが自分は見に行って良かったです。
正直、主演はたしかに永野芽郁さんですがそれよりも大泉さんが今回はめちゃくちゃ良かった。
すんごい怖くて変わり者で失礼で、でも何か憎めないというかどことなく愛のあるあの先生のキャラが最高に演じ切っていました。
私はもともと水曜どうでしょうのファンで彼が本日のスープやドラマ救命病棟で東京進出していく姿などを追ってきたどうバカです。
しかし東京進出して全国的にブレイクしていきましたが東京進出しての初めの頃は演技の面に関しては大泉さんて何やってもいつも同じだなーくらいに思ってました。
が、私が大泉さんの役者としての凄さを感じたのは東京喰種でした。
ここからすごく演技の幅が広がっていったと思うしここ最近の作品では本当に大物俳優の域に入っている素晴らしい役者さんになったなと思います。
そして今作のエンドロールを見て思いましたがあらゆる面で原作者の東村アキコさんが関わっていてそれだけあらゆる面で原作者の熱意が注がれているので本当に見ていていい作品だなーと思える途中でダレることもなく見入ってしまう作品に仕上がっているよなと思いました。
とにかく永野芽郁さんの件もよぎる方もいるでしょうが作品の関しての評価は見てからそれは判断してほしいです。
ぜひオススメです!
淡々と過ぎていく時間が惜しい
公開前から永野芽郁と大泉洋という、好きな俳優が出ているのでとても楽しみにしていた。
しかしながら、公開日からさほど時間も経たないのに、最寄りでは既に朝回と夜回しかなくってしまい、早く観ないと終わりそうと思って、ちょっと遠いところの昼回のある所に見に行ったさ。
うーん、これは早めに終わりそうだなあ。
東村アキコの恩師日高先生(大泉洋)は、今の時代だとパワハラと言われそうな圧と強いひと。対して東村アキコ(永野芽郁)は典型的なノンポリ少女。「描けー!」が口癖の日高先生は絵を描くことには純粋でとても優しい生徒思いの人。でないと、わざわざ宮崎から金沢まで来ないよ。そこには心打たれた。
芸術を扱う映画はどうしても肝心な「絵」や「音楽」に実際の力がないと説得力を欠くから、「線を描く」とか「プルーピリオド」とか古くは「のだめ」を含め、芸術的な部分に手抜きがないことがポイントだ。その点では林アキコが書いた自画像と日高先生が死ぬ直前まで描いていた絵に感銘した。
では、なぜこの評価なのか。
脚本なのか演出なのか編集なのか、とにかくテンポが悪い。
2時間を超える映画だが、前週に見た、アクションが長いと思ったミッションインポッシブル(160分)より長く感じた。
特に金沢時代とコールセンターで働くシーンの必然性が感じられない。
語りの多いこの映画ではこの部分こそ語って終了か、語らないで画を見せるとかやりようがあったのではなどと思う暇があった。
また、一番の泣き所のはずの先生との会話(死後)も、途中でやはり長いと感じてしまった。
もっと端的に出来なかったのか。
自伝的な話とはいえ、全て語らなくても、それこそ象徴的なシーンで代表させることは出来るだろうに。
楽しみにしていた家内は途中でスヤァ。
これがこの映画の評価かな。
見て良かった!
私は、東村先生の作品を読んだことがありません。ですが、映画化を何度も断った大切な恩師との話。自ら脚本を手がけるほどというのを知り、これは見なければと思いました。友達を連れて映画館に行きました。キャストのことで、色々あって、作品に入り込めないのでは、という思いもありました。ですが、見終わってから、涙でグシャグシャになったお互いの顔を見ながら、友達と見て良かったと話しました。
今まで、見てきた中でこんなに泣いた作品は、ヴァイオレットエヴァーガーデン以来です。
キャストのことで、色々ありますが、見ないともったいない作品です。
東村先生の漫画も読んでみたいです。
ホントに見に行って良かった。
素晴らしい作品でした。
高評価な理由がわからなかった
恩師への感謝とそれに報いる生き方を思い出させてくれる
人は、いろいろな人に期待され、励まされながら、それを原動力にして成長する。けれども、日々の生活の中で、期待してくれた人、励ましてくれた人のことなど忘れている。気がつくと、ここまで自分を連れてきたのは、間違いなく、そんな人たちのおかげだというのに。
映画『かくかくしかじか』は、私たちにそのことを思い出させてくれる。
画家であれ、漫画家であれ、アーティストは、自分の力だとか、自分に課せられた「才能」だとかを、信じ続けることが必要なのだろう。それはきっと想像を超えるほどの孤独な闘いだ。
日高先生は、画家として生きるためには、そんな終わりのない、苦しい自分との闘いに打ち勝つような精神力が必要であることを実感しているからこそ、竹刀を振りかざしながら「描け!」「描け!」と叫ぶような教え方をしていたのだろうと納得する。
白いキャンパス(あるいは白い紙)という「無」から、私たちの心を揺さぶる「作品」を生み出す画家(あるいは漫画家)という人間は、本当にすごいな、とこの映画を観て、改めて思う。
そんな世界観を見事に演じている、永野芽郁さん、大泉洋さんが、素晴らしい。
演出やストーリーに一貫性があり心地よいのは、関監督の力量もさることながら、原作の東村アキコさんが、脚本から関わり、撮影現場にも常に同行して助言していたというのも大きかったのだろう。
さて、私はこれまで私を育ててくれた多くの恩師に報いる生き方ができているだろうか。恩師への感謝の気持ちを忘れず、悔いのないように生きねば、と思う。
全ての人の熱意が伝わってきました。
この作品が刺さらない人は、人生ストレートにうまくいっている人だと思う。
生きてきた中で何かしら挫折をしたことがある人、いま現在進行形で人生のマンネリ化を感じている人は、ぜひ見てほしい。
さらにいえば、一度は芸術で飯を食っていこうと思っていた人は、かなりブッ刺さるはずだ。
自分のやりたい芸術が分からなくなる、そんな瞬間って誰にでもあると思う。
近年、働き方改革や体罰の厳重化が推し進められ、教育の仕方が変わってきている。
今この時代に日高先生のように“本気”でかかってくる先生は時代遅れなのかもしれないが、この映画をみて気づく。
今の令和に足りないものってこれだよなぁ、と。
そういうちょっと大袈裟な演出が、うまくいえない時代の変化に喝を入れられるような斬新すぎる画になっていて、ハッとさせられてしまうのだろう。
教育は人対人。いくら時代が経ったとしても、AIがどれだけ普及したとしても、その大切なことは変わらない。
日高先生のとことん人と向き合う姿勢、情熱、信念がこの映画を作っていると思った。
人と人のつながりこそ、そこらへんの日常に転がっているような些細なものだけど、その有り難みを普段感じているか、と映画に問われたような気がした。
もともと私は原作ファンだ。
原作では、人の感情がシビアに描かれていて、感受性が強い私は次のページが読み進められないこともあったが、その点映画は淡々と進んでいって、それが逆に助かった。
見る人によってキャラの感情の考察は違ってくるのかもしれない。でも私はそういう演出が大好きだ。感情を探れば、感動は分かる人には分かる。
私が見た映画館は前列2列をのぞいてほぼ満席。笑うところでみんなで笑って、泣くところでみんなで泣いた。
1人で見るのも良いが、集団で見る楽しさもあったので、ぜひ色んな人に見てほしい。
制作陣、役者陣、そして東村先生の熱意がとても伝わってくる映画だった。
永野芽郁さんのことは全然詳しくないが、仕事には一生懸命な人だってこの作品を見て分かるし、大泉さんは、この役で賞をとる勢いだ。
とりあえず、今度は人が少ない映画館に行って、存分に泣きたいと思う。
「笑って泣ける邦画」の優等生的作品
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