「橋本昌和だな!!って感じの映画」映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ Croさんの映画レビュー(感想・評価)
橋本昌和だな!!って感じの映画
よくも悪くも本当に「橋本昌和しんちゃん」って感じの感想
特に橋本昌和しんちゃんのいいところと悪いところが顕著というか、良くも悪くも橋本昌和しんちゃんって感じ
でも新クレしん(自分の中の勝手な区切りですが、B級グルメサバイバル以降の橋本・高橋・その他体制のことを新クレしんという区分で呼んでいる)の中では、最高傑作でした。新クレしん区分だと天カス学園が傑作として挙げられるし、自分も天カス学園の方がレビューの点数は上だけど、それはあくまで齋藤彩夏さんが出てるっていうだけで跳ね上がった点数分なので、そういうの抜きにしたらトップ
とにかくB級グルメにしろサボテンにしろシリリにしろハリケーンにしろ基本橋本しんちゃんは「ロードムービー」の枠を出ることがない。ロードムービー以外の作り方を知らないのか、狙ってやってるのかは不明だけど、唯一ロードムービー的でないニンジャが新クレしん区分の中では最底辺と考えると、橋本しんちゃんは「ロードムービー」的でないとダメだ、というのもよく分かる
そのロードムービーの流れの中で、ひたすら小さいギャグを挟み続け、なんだかんだでいつの間にか解決している。これが大まかな橋本しんちゃん映画の流れである。言ってしまえば全て同じ作り、とすら言える。ただガワを変えただけで、B級グルメもサボテンもシリリもカスカベダンサーもやってることは同じなのである。その作品特有の「個」というものはほぼない
だけど、その「安定」こそが橋本しんちゃんの"良いところ"であり"悪いところ"でもあるわけだ。突出した笑いどころもそこまでない。似たようなヌルッとしたギャグが挟まれ、流れていく。面白くてクスッとなるギャグもたくさんある。笑った部分は結構あるし、往年のファンには嬉しい「オラはにんきもの〜インドバージョン〜」というサプライズもあった
でもしんちゃん映画の「設定」や「構造」による面白さではなく、単にキャラ同士の「掛け合い」に終始するのが橋本しんちゃんのダメなところだと思ってる。マサオくんをああいう設定で笑わせるなら、もっとその物語の構造として笑わせられる展開はたくさんあったと思うけど、出落ち以上にはならない
話の緩急が少なく平坦な感じがして、オチがさらっと終わる感じ。凄く橋本しんちゃんだなーと思いながら鑑賞していた。キャラの行動原理も結構謎で、アリアーナがしんちゃんを最初助けるのまではシンプルに「狙われてる子供を助けなきゃ」で分かるんだけど、あそこまで肩入れして物語に食いこんでくる理由は結局ない。例えばボーちゃんに共感して、"らしさ"を押し付けるしんちゃんたちを否定する=自分を肯定し答えを見つけ出す為に同行する。という心理描写などがあればまた違ったかもしれないが、行動原理が不明なキャラが多すぎで、脚本の都合上動かされている。これは橋本しんちゃんで顕著な欠点だ
でもなんだかんだ面白かったな、で終われる安心感は個人的に旧クレしん末期に続いた闇を考えると、どうしても嬉しい要素にはなってしまう。原・水島体制がもう二度と戻らないのなら、俺は橋本しんちゃんだけを観ていたい。そう思えるような安心感はあるけど、でもやっぱり橋本しんちゃんを「クレしん」だとは認めたくないような、そういう複雑な乙女心があるわけだ
作画も凄くよかったし、絵作りも旧クレしんの魅力的な雰囲気をパワーアップさせた感じがあり、動きもありで、今作のような作画でやってくれるなら嬉しい限り。正直作画(特に原勝徳作画)が嫌で離れていたけど、原作画も昔に戻った感じがあってすんなり観れた。針金屋作画はいつ見ても安定してて大好き
しんちゃんの声が変わってから映画館に観に行かなくなったし、今回も友達との遊びの流れで観ることになったから、多分それがなかったら観に行ってなかった。それほど自分の中でしんちゃんの声には違和感があって、生理的に受け付けられなかった。決して新しんちゃんの声を批判する意図はなく、プレッシャーの中後任をやっているというのは素晴らしいことだと思うし、演技に関しても文句の一つもない。ただ自分が受け付けない、というだけで声優に悪い点は一つもない。だけど今作を観ていたら、「割かし観てられるな」くらいには落ち着いていた
ハリケーンとかは、もう観てるのが「苦痛」というレベルですらあったけど、今作は「まぁ観てはいられる」くらいにはなった。それが自分が慣れたのか(慣れるほど観てすらいないんだけど)、演技が昔のしんちゃんに近づいたのかは分からないけど、どんなに作品がよくてもこのしんちゃんの声なら俺はもう映画館で観るつもりはない!とハリケーン以降映画館では一切観てこなかったしんちゃん映画が、来年以降映画館に観に行く習慣戻してもいいかなぁ。くらいにしてくれた今作は結構偉大かもしれない
そして「これがもうダメなら俺はしんちゃん映画は観ない」と最後にするつもりで観て、結果的にしんちゃん映画を毎年観に行く習慣をつけてくれたB級グルメといい、橋本しんちゃんは俺をしんちゃんに何とか繋ぎ止めてくれるような、そんな存在だったりする。でも俺は決してこれを「クレしん」として評価するつもりは無い
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