「王道の真ん中から逸脱しないことの安心さと苦しさ」隣のステラ alfredさんの映画レビュー(感想・評価)
王道の真ん中から逸脱しないことの安心さと苦しさ
主演の福本莉子さんの名前を知ったのは、Eテレの「高校講座 物理基礎」がきっかけだった(当方は昭和のおっさんだが、時おり高校講座のいくつかを録画しては見ている)。
福本さんは今は、東宝シネマズの幕間の映画ニュース「シネマチャンネル」の案内役を務めている。
なので、幕間で福本莉子さんを見て、間にCM予告編をはさんでから再び本編で福本さんに再会するという流れだった。
映画自体は、少女コミックの映画化の王道という感じで、よく言えば王道から外れてはいないが、悪く言えば破綻や意外性が殆どない。憎まれ役のキャラもいないし、大きな場面転換もない。
新しい才能はないかと探し回る身としてはやや欲求不満だ。
監督の松本花奈さんはまだ20代(98年生まれ)と若い。もう少し冒険をしてもよかったのではなかろうか。
手際よくまとめる力があるなら、一旦破壊して再構築することも可能なはずだ。
ステラとはイタリア語の星を意味する言葉。星とその隣りの星は近いように思えるが、実際には遥かに離れた距離にある。幼なじみ同士だが、片方はモデル兼俳優もう一方は普通の高校生となる二人の関係を意味しているのだろう(英語の授業で銀河鉄道の夜を取り上げて、二人の関係性を示唆している)。
英語にはgirl next doorという表現がある。隣りに住んでいるような親しみやすい女の子というくらいの意味だが、福本莉子さんはgirl next doorという表現に相応しい。普通らしさがいまの福本さんの持ち味であろうし、その普通さは本作では出ていたのかもしれない。普通さを演じるのは結構大変なことです。
幕間の映画ニュースをやっていたあの子が、とてつもない作品で見事な演技を魅せた‼ ということが起きるように願っています。