「ファンムービーとしては良いと思うが、大人が見ると常に恥ずかしさを感じてしまうと思う」隣のステラ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
ファンムービーとしては良いと思うが、大人が見ると常に恥ずかしさを感じてしまうと思う
2025.8.22 MOVIX京都
2025年の日本映画(109分、G)
原作は餡蜜の同名漫画
芸能人になった幼馴染の苦しい恋愛を描いたラブロマンス映画
監督は松本花奈
脚本は川満佐和子
物語の舞台は、関東圏のとある街
子どもの頃からずっと一緒だった千明(照井野々花、青春期:福本莉子)と昴(三浦綺羅、青春期:八木勇征)は、秘密の場所を共有しながら、お互いにずっとそばにいたいと思っていた
だが、高校生になった昴は芸能活動を始めてしまい、イケメンモデルとしてブレイクしてしまう
手の届かない存在になってしまった昴だったが、彼のしたいことを応援しようと決めていた千明は、自分の想いを押さえ込んだまま、日々を過ごしていた
そんな千明を親友のはるな(田鍋梨々花)は心配し、友人の翔太(田中偉登)も「どうして告白しないのか」と思っていた
ある日のこと、ドラマに抜擢された昴に触発された千明は、地元のレストランカフェでアルバイトを始めることになった
先輩の高橋(倉悠貴)は心優しいイケメンだったが、千明の心は昴一色で、付け入る隙もなかった
だが、千明の様子がおかしいと感じていた高橋は、気分転換のために遊園地に連れ出したりしていく
そんな折、千明は一線を超えて告白をするのだが、昴はある理由から、千明を突き放してしまうのである
映画は、低年齢向けの原作をアイドル俳優を起用して映画化したファンムービーになっていて、そのテイストを楽しむ人向けの作品となっていた
イマドキの映画なので、SNSで秘密の関係がバレたりするのだが、あそこまで露骨だと、公認のカップルのようになっている
なので、SNSで頭なでなで動画が出たとしても、身近な人はみんな知ってるよね、という感じで、悪意のある人によるリークだとしても、その顔を見せないのはどうなのか、と思ってしまった
基本的に悪人は出てこない作品で、スバルと千明がそれぞれ一人相撲をしているだけだったりする
もどかしさを感じる一方で、それを意図的に強調している部分があるので、大人が見ると露骨だなあと思うシーンはたくさんある
千明が部屋の押し入れから荷物をぶちまけるシーンとか、その後に昴ママ(紺野まひる)から昴の知らない話を聞くとか、展開はかなりベッタベタとなっている
それぞれが感じている「相手に話せないこと」というものがすれ違いを生んでいるのだが、昴の活動の原点に立ち返った時にようやく解決の方向へと向かっていく
周囲は2人のもどかしさを解消させようと考えているのだが、そこに悪意を乗せないところもピュア度を増幅させることになっていて、その盛り具合というものが胸焼けをするくらいに盛っているように感じた
いずれにせよ、見た目と行動のギャップを常に感じる内容で、彼らは高校生の設定だが、見た目は立派な大人に見えてくる
脳内変換が必要な作品だが、このあたりは原作準拠なのかな、とも思う
映画では、2人の想いが昇華するエンドになっているのだが、昴の芸能活動がどうなってしまうのかはわからない
物分かりの良い社長(野波麻帆)はマネージャー(浜野謙太)にぶん投げていたが、今の時代だと「幼馴染の彼女を大切にするイケメン」というものでもファンを獲得できそうにも思えてしまう
昴の芸能人としてのキャラ設定が「恋愛禁止のアイドル」ではないと思うので、そのあたりは「隠していく」ことで、日常と非日常が交わらないのかな、と感じた
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