劇場公開日 2025年10月31日

「余白を生み出す、スルメ映画」(LOVE SONG) るりさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 余白を生み出す、スルメ映画

2025年11月5日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

斬新

ドキドキ

映画本編はタイと日本の制作、そしてKADOKAWAという事もあり公開に先立ちノベライズが出版されていました。
主演はミャンマー出身(本当にこの前に日本国籍取得をされたと言っていた。)の森崎ウィンと、タイ人の母親、日本人の父というルーツを持つSnow Manの向井康二がW主演。異国にルーツを持つ2人だからこその役、当て書きと思えるほどに、2人は役どころにマッチしていた。2人だからこそ違和感がなく、2人の演技力だからまとまったのだと思う。

タイの映画を初めて観たのでこれがそうなのか?という気もするがとにかく展開がジェットコースターすぎてたまに振り落とされそうになる。
え?さっきまであんなに仲良さそうだったのに、、?と。日本は主人公の心情の機微を事細かに描いてくれることが多いが、割と貴方の想像に任せます。な感じです。なるほど。そうなると1回で咀嚼ができない部分がでてくる。これが策略か、、、

森崎ウィン演じるソウタ視点で物語が動き、何故こんなに馬鹿みたいにすれ違うんだよ!な恋模様はカイの過去に隠されている。が、まーーーーーーーカイはミステリアスお兄さんであるため喋らないのである。(喋ろよ!
もちろん後半にその理由も明かされるのだが、そうなったら明かされる前の行動にも合点がいったり、色々点と点が繋がるのです。

脚本に慣れないところはありながらも、
森崎ウィン演じるソウタの可愛らしさ犬らしさ、愛されてきたんだな〜感。と、向井康二演じるカイの不器用さと、物静かすぎる役でほとんど喋らない、目で語る演技コレ。本当に良すぎます。
ほぼ喋らないのに心の機微を、言葉にしなくても分かる、苦しくなるって本当に素晴らしく良いです。
特にソウタ母と再会してるところ、なんとも言えないですね。これがパンフレットの表紙ですよ。天才

そして脇を固める及川ミッチー。あまりにもジンさんて、ミッチーで、フラットで、全員に平等に優しくて、クスッと笑えるキャラクターで嬉しい。
タイの俳優陣も日本人が好みそうなお顔をされているのでとても観やすいです。

観光ビデオ?ぐらいタイの観光名所であったり、日常を感じる街中であったりと映像美を感じます。本当にワンシーンワンシーン異国情緒溢れていてとてもタイに行きたくなる。ご飯が食べたくなる。
そして音楽もいいですね、劇中歌のカイが愛を歌うところはもちろんですが、その他場面でも音がいい。監督は音楽が好きなのでそこも拘りを感じます。

過去のシーンにソウタ母が現れて結構重い描写なんですが、これ、普段からBLを観ている方たちにはこの2025でその価値観?というのを散見されたのですが、正直に言って私と私の周りはコレ。です。初めてBL作品に触れました、2次元3次元問わず、自身の周りにもLGBTQの人は居らず。そんな生活をしてきたアラサーです。
自分の親世代ほど価値観は古くない、と思いながらも実際生身の人間としてそういう方達と触れたことがありません。

なーんでか本当に分からないんですが、BLって18禁のイメージが何故か私は先行しており、(なんでだろう?なんていうか、話題作とかおすすめに出るとかってわりと際どいシーンありきというか)、おっと。と思う事もあり通ってこなかったのですが、今作は絵が綺麗で。キスシーンで終わったのもとても良かったです。いや、向井康二くんキスシーンうますぎる。

話は逸れましたが、価値観は本当に、
自分の人生に関わりがない人が、LGBTQでも何も気にならないけど、当事者になるとしたら、ちょっと考えたい。それって割と今もあると思うんです。なんならアラサーの私を産んだ親は昭和世代でそこら辺ってわりと顕著。私もそこはアップデートしなきゃなって思うけど。当事者意識って本当に難しくて。
タイは国として日本よりは開かれている環境であり、ここで日本の閉ざされた価値観と、親世代という更にガチガチに古い考えに直面する。これ、まあ主演2人のファンとかBLファンが主に観る映画の枠に入ってると思うのですが、全世代に観てほしいですよね。

皆んなで一回、考えてみようって。
愛って、年齢も、性別も、全部関係なくて、人と人なんだよ。って思えたそんな純粋な愛の映画。
自戒も込めて。

そういう事でこれからまた観に行きたいと思います。1回で全てを回収しきれません!お手上げ!
ノベライズもパンフも買うしかないなあ!

るり
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