「こんな恋に出会えたら、きっと幸せ。性別をこえた純愛ストーリー」(LOVE SONG) こなつさんの映画レビュー(感想・評価)
こんな恋に出会えたら、きっと幸せ。性別をこえた純愛ストーリー
大学時代、突然姿を消した親友のカイ。
密かにカイに思いを寄せていたソウタは、
彼を忘れられないまま社会人に。そして研究員になったある日、
タイへの出張を命じられるが、そこでカイに再会して……。
一人にとっては「忘れられなかった恋」
もう一人にとっては「忘れたかった恋」
「両片思い」がテーマの本作だから、
カイにもソウタにも、自分の想いを口にできない理由がそれぞれあるのだけど
(後半明らかになるカイ側のそれが、本当に切なくて苦しい)
言えないからこそ、気持ちがこもっていく二人の「目」がすごく印象的で……。
叶わない想いにどんどん涙が溜まっていく表面張力?のような目や
一緒にいられる喜びが隠しきれない目、叶わないと諦めた時の目――
特に後半、過去が明かされる直前のカイの、
一粒でも涙が落ちたらもう止まらなくなりそうな、それでも
ギリギリでこらえている潤んだ目が、すごくすごく切なかったです。
映画のタイトルのとおり、この物語の軸のひとつが
「カイが誰かのことを思って書いた、でもいまだ完成していないラブソング」。
ついにこの曲が完成し、ライブで披露するシーンが中盤ありますが、
これがまためちゃくちゃ切なくて泣ける……
歌詞のなかに、二人の大事な記憶をしのばせた一節があって、
そこを歌うときのカイの、たとえこの恋が叶わなくても
あの記憶だけは消せない、宝物だ、と訴えるような、
そうあってほしいと願うような歌声と表情に、ただただ自然と涙が流れました。
(向井くんの生歌だそうで圧巻のシーンでした)
タイの監督が手掛けた作品ということですが、
ふたりがタイで再会したときから、ずっと絵が美しくて。
「これがタイの演出なんだなー」と独特に感じるところもあり、
行間を読ませるタイ作品だからこそ違和感を覚えるとこもあるけれど
だからこそ2回は見たほうがいいと思える作品でした。
二人の両片思いの年月は途方もなく長くて
「諦めたい」「忘れたい」「忘れられない」
そんな想いを抱え続けるって、すごく苦しくて切ないこと。
ただ、そこまで思える相手に出会えたことは
奇跡みたいに幸せなことなんだろうな、と二人を見ていると思ったし
主題歌のOmoinotakeさんの曲がまたこの二人にぴったりでした。
普段あまりBLジャンルものを見たことがないけれど
キスシーンはじめとにかくすべてが切なくて美しくてキレイで、
ジャンルへの見方も変わるし、これは性別を超えた
ひたすらピュアな「純愛ストーリー」なんだなと思いました。
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