「『ピュアラブストーリー』です。先入観なく楽しんで!」(LOVE SONG) まことさんの映画レビュー(感想・評価)
『ピュアラブストーリー』です。先入観なく楽しんで!
まず、この作品は『タイBL』というジャンルではないということ。
タイで大ヒットしたBLドラマ『2gether』を手掛けたウィーラチット・トンジラー監督(愛称はチャンプ監督)が手掛けた作品というだけで、監督もキャストも、公式は全ての媒体において『日タイ合作ラブストーリー』という謳い方をしている作品であるということ。
W主演とスタッフ情報全てが同時発表されるはずだったこの作品…
初出前に「Snow ManがタイBLの作品をやる」というかなり部分的かつ若干語弊と悪意のあるリークが流れてしまったことによって、当時「タイBLなのに日本人同士かよw」など謂れのないヘイトを(ほんの一部からですが)向けられるような情報公開になっていたので、さすがに可哀想で密かに応援していた作品でした…。
日本が大好きなタイの監督が、アジア国にルーツのある二人を主演に選び、日本とタイの交友関係を促進することを望んだ、素敵な想いが込められた作品です。
もしこれから鑑賞する方はあまり『BL』という先入観を持つことなく作品を楽しんでほしいと思っています。
誰かを想うことを大切にしよう、否定しないようにしよう、そう思える温かな作品でした。
前述したように、タイBL特有の同性同士の恋愛ウェルカム!みたいなファンタジー要素は薄め。
両親からの同性愛への偏見や周り目に葛藤する切なさもあり、タイというおおらかな感性の国で出会うキャラクターたちの言動が後押ししてくれる朗らかさもあり、日タイ合作ならではのオープンさと生々しさが混ざるボーイズラブ作品、といった印象を受けました。
チャンプ監督らしいユーモアに富んだキザなセリフや甘いセリフ、キュンとする要素ももちろんたくさんあります。カイチアオを一緒に食べるシーンはちょっと笑ってしまった。なんだそれwwみたいなセリフが急に出てくる。
主演二人はフレッシュな感じで可愛いし感情を爆発させる演技が素敵でした。ストーリーも面白かった。
ですが、約二時間あるわりにキャラの掘り下げが薄かったり、あの人は結局どうなったの!?みたいな疑問も色々残りました。その割に前半は説明的なセリフも多かった…ノベライズや過去編を描いた電子コミックなどがあるので、キャラクターのバックボーンを描くメディアミックスありきでの脚本なのかな、といった感じです。
脇役キャラも見せ場たくさんあるし登場人物軒並み良い人なので、各キャストのファンは観に行って損はないと思います。
タイのご飯はたくさん出てきたけど、せっかく舞台にするなら文化やお祭り、観光地もがっつり紹介するような演出でも良かったんじゃないかなとも思いました。良く言えば謙虚なチャンプ監督らしい演出が多かった。もう少しはっちゃけた脚本でもよかったのにな~!が正直な感想です。
ライブシーンは曲もカイの歌声も、客席から見た切なげな演出も全て綺麗で感動でしました。
色々気になる点はありつつも、あのシーン良かったな!がたくさん出てくる、そんな印象付けの上手な作品でした!面白かった!
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