「非常識で不思議な世界を楽しめる快作」ミゼリコルディア sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
非常識で不思議な世界を楽しめる快作
一度目の鑑賞で消化不良だったので、二度目にリベンジチャレンジしました。
その際心掛けたのが、常識のフィルターを外して観ること。結果 これがめちゃくちゃ面白かったです。
ロングドライブの後辿り着いた村。石畳の道路と森の紅葉、冷気を帯び澄んだ空気。ツインピークスのような複雑な人間関係が垣間みえる。そして葬儀。舞台としては最高です。
でもこの後、通常の道徳観、倫理観は出てきません。登場人物は皆、「変」。この不条理にいかに理屈抜きに浸れるかが、この作品を楽しめるカギかなと思います。
午前4時に来るのが分かってるから、少し前に起きて待ち伏せする、「3匹の子豚」のような戦術とか、さすがにあのキノコ料理は気が進まないから、ワインで流し込んで無理喰いするところ、尋問で婦人警官が上司と徹底して話を合わさないところなど、笑えるシーンもあります。
最高なのは逆告解のシーン。犯人に「知ってるよ」と仄めかすと同時に、愛の告白もしてしまう。一方で「食事と散歩が出来たらいいの」と控えめな乙女ごころも示します。
アラン・ギロディ監督が意図的に廃したとコメントしてますが、本作は監督お得意の激しい性描写が一切出てこないのも気に入りました。
今までにない感覚のダークミステリー。出色の作品です。
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