「前作の鈍行から、やまと浮上」沈黙の艦隊 北極海大海戦 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
前作の鈍行から、やまと浮上
映画前作を見た事だし、今回も…。
しかし、前作を所々忘れてる上、レンタルはされずアマゾンプライム配信のみ。おまけに続編に当たるドラマシリーズも配信のみ。こんなんで新作劇場版を観ても…。
そんな時、先日のTV放送。ドラマシリーズの再編集だけかと思ったら、前編が映画前作の編集版。後編がドラマシリーズの再編集。
これは有り難かった。しっかりお復習し、劇場へ。
サブタイトルにもなっている“北極海大海戦”は実は前半のみ。
しかし、前作一本分以上に潜水艦映画としての醍醐味充分。
海江田艦長以下乗組員を乗せた原潜“シーバット”改め独立国“やまと”は東京湾で米艦隊と一戦を交えた後、NYで行われる国連総会に出席する為、現在は北極海を潜航していた。
ベネット米大統領はやまと撃沈を表明。最新鋭原潜を出動させる。
暗く冷たい氷の海の下で相見える両原潜。開戦。
が、米原潜の動きがおかしい。レーダーで前方に現れ、消えたと思ったら一瞬の内に後方へ。その後も頻繁に移動。
そんなに速い原潜など存在するのか…?
撹乱されるやまとだが、海江田は遂に見抜く。
何となく予想は付いた。米原潜の艦長が兄弟の話してたし。
米原潜は2隻。兄弟艦長による見事な連携プレー。
相手の動きを読み、先手を打つ。海江田vs兄弟艦長の静かながらも白熱の頭脳戦。
兄弟艦長各々の性格やエピソードも疎かにされず。闘った相手への敬意も忘れず。
何だかそれが『銀河英雄伝説』のようでなかなか熱かった。
なるほど、原作屈指の名エピソードなのも頷ける。
にしても、米原潜2隻と有能艦長を打破する海江田って…。本当に王騎の末裔か…?
やまと支持を表明した竹上総理。
世論は賛否両論。野党からも激しい批判。幹事長役の風吹ジュンの大物感。
新党を立ち上げ解散総選挙。
やまとによって揺れる国内情勢。そんな日本に相応しいリーダーは…?
間もなく行われる首相指名選挙とタイムリー。
映画前作を見た時は笹野サンが総理~!? お抱え運転手から出世したけど何だか頼りないなぁ…としか思わなかったけど、腰低く誠実。再選も果たし、出演場面も増えた気がする。笹野サン他実力派が政治ドラマパートを担う。
理想的な総理。果たして現実世界では…? 新総裁には選ばれたものの、公明党の連立離脱によって自民の議席獲得数に届かず、現時点で危ぶまれる初の女性総理誕生は…?
この政治ドラマパートで新キャラ。与党から独立した鏡水会代表、大滝。掲げるは、全世界の軍備永久放棄。原作でもキーキャラらしく、今後の動向が気になる。俳優としても板に付いてきた津田健次郎。
クライマックス、遂にNY沖に辿り着く。
米政府や米軍は厳戒態勢。“テロリスト”を仕留めよ。米大艦隊が立ち塞がる。
それに対し海江田の主張はただ一つ。国連総会に出席し、ベネット大統領と会談する。
米艦隊の攻撃。が、やまとは反撃しない。耐震限界まで深く潜航したりしてミサイルをやり過ごす。
その突破法。北極海でも大胆な戦法を見せたが、こちらでも。
我々は見た。鯨を。海上大ジャンプする鯨を。
我々は闘いに来たのではない。話し合いに来たのだ。
その時響き渡ったのは…。
信念を貫く男、海江田。
時々突飛過ぎるようにも思うキャラだが、それすら納得させ魅せてしまう大沢たかおの風格。
ご都合主義やツッコミ所、リアリティーあるように見えて実はリアリティーに欠けたり、説教臭さもある。
が、迫力の原潜バトル、やまとvs米艦隊、今回の主要キャラの描写、問われる日本と政治と平和とは…?
前作より面白かった。このクオリティーなら引き続き航行希望。
ただ心配なのは…
次が重要。国連総会での会談。
いつやるの…? 映画…? ドラマ…? 何作までやるの…?
飽きや忘れない内に、お願いだから低速航行にはならないでね。
共感ありがとうございます!
映画館で観た前作のイメージを壊さないように、あえてドラマ版は観ないでいたのですが、冒頭で前作のダイジェストを流してくれたので、初手から安心して観ることが出来ました。
潜水艦は各国とも軍事機密の塊なので、作品内潜水艦の装備も性能も想像の産物と思って観ていたので違和感(?)はありませんでした。たぶん原作者も作品内の世界情勢を含めて「SF作品」的な思いで作っている気がするので、熱量が冷めないうちに次期作を作ってもらいたいと感じました。
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