「壮大な予告編とわかってはいますが。」沈黙の艦隊 北極海大海戦 九段等持さんの映画レビュー(感想・評価)
壮大な予告編とわかってはいますが。
やっぱりいいですね、沈黙の艦隊ワールド!
この後Amazon Primeで大幅補完した本編配信があると分かってはいますが、お布施としてだけでなく、映画としても劇場で見る価値があると感じる出来でした。
特にタイトルにもなっている北極海海戦の充実度は、想像以上。
映画版の短い尺であれだけ見せてくれるとは。ベイツ兄弟の掘り下げにも感動しました。
逆に、日本の総選挙シーンがやや薄かったのは残念。
本来は野党側(ちらっと出てくる河之内英樹がまた良い)の思惑や民自党による選挙後の切り崩しなど見所がたくさんあり、「民意とは何か」を考える重要な場面でもあったはず。
そうした展開がないので、かえって冗長と捉える人もいるのでしょう。
つながりを見るに恐らくそうしたシーン自体撮影していないのだろうと思いつつ、ここも配信でわずかでも補完してくれたらいいなと願わずにはいられません。
ちなみに解散したとはいえ現職総理と官房長官がSPすらつけず行動していたり、民自党幹事長(海渡)達が下野後に主たる竹上総理と入れ違いで官邸の階段を降りてくるのもわりと謎ですが、そこはまあエンタメですよね。
一方、この作品で特に印象的だったのが津田健次郎演じる大滝淳の完成度の高さ。
どこか軽々しいものの、野心の中にある信念と優しさが、これぞ大滝と感じさせてくれました。
衆議院本会議場の描写も演台周りはやたらと凝っていてよかったです。
展開としてはここまでで残り30分。
何をやるのかと思いきや、まさかのニューヨーク沖海戦に突入します。
あまりに想定外で、そこまで一気に進むの?と驚きました。
OVAで描かれなかった先まで進んだのは良かったですが、沈黙の艦隊こそまだ成立していないものの、この先戦闘らしい戦闘はないだけに若干心配です。
大滝のロンドンでの活躍も後回しにしたようですし、最後の国連のシーンまでしっかりと収めてもらいたいなと思っています。
見終わって、やはり壮大な予告編だったなと思った、いや、そう願わざるを得なくなった次第です(笑)
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