「タイトルなし(ネタバレ)」シンシン SING SING りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
米国NYのシンシン刑務所。
最重警備施設であり、収監者の多くは重罪で長期収監されている者たちだ。
ただし、同施設では、演劇などの芸術を通じての更生プログラムRTA(リハビリテーション・スルー・ジ・アート)を行っており、同プログラムの受講者は更生率が高い。
演劇プログラムに欠員が出て、新たに受講者を求めることになった。
採用されたのは、クラレンス・“ディヴァイン・アイ“・マクリン(本人)。
麻薬密売地帯で生まれ育ったためか、犯罪・暴力の世界にどっぷり漬かっている。
プログラムを主導するのは、殺人罪で長期収監されているジョン・“ディヴァイン・G“・ホイットフィールド(コールマン・ドミンゴ)とマイク・マイク(ショーン・サン・ホセ)。
しかし、ディヴァインGは、殺人事件は冤罪だと訴えている・・・
といった物語。
ドキュメンタリー的と謳われていたので、RTAプログラムの詳細を伝える映画かと思ったが、意外とドラマ部分のウェイトが大きい。
RTAを通して、ディヴァイン・アイの心が落ち着いていく様などはドラマとしての見どころはあるが、ディヴァインGの冤罪設定などはドラマ的にはやや上滑りしている。
(劇中、殺人は自身が否定し、真犯人の告白もあることから冤罪だが、武器所持の罪は否定していないので収監自体が誤りというわけではないとも思えるので、冤罪部分のドラマが必要だったかどうか疑問符)
ドキュメンタリー的なのは、ディヴァイン・アイ以外のほかRTA受講の元収監者が本人役で出演しており、本プログラムが有効に機能していることはうかがい知れるが、RTAを受けた者と受けていない者との対比が映画の中で薄く、かつ、受講者で釈放された者の更生エピソードもやや薄い(後者は劇中では1名登場するのみ)。
そういう意味では、少し食い足りない。
元収監者が本人役を演じることで、製作意義は達しているとはいえるけれども。